理由 ページ23
『…ん……あれ、私……?』
(いつの間に眠って…)
ソファに腰掛けたまま眠っていたのか、と寝起きの状態で考えていると、すぐに隣に気配を感じた。
『…!!!…なっ、なんで…』
?「いや〜驚かせてごめんさ。帰ったら全然Aちゃん見当たらなかったから、なんとなくここに来たらちょうど寝ててさ。ずっと起きるまで待ってた」
そうやっていつものようにへらっとした笑顔で話す彼…ラビが、隣に座っていたのだ。
表情も喋り方も普段と変わらずではあるが、彼の左腕は折れたのだろう、肩にぶら下げられており、指には何ヶ所か固定されているのが見える。
体にも所々包帯が巻かれ、顔にもいくつか治療がされた痕跡が見られていた。
ーーこれほどの大怪我なのに、彼はわざわざこんな所まで探しに来てくれたのだ。
『……っ…ごめんなさい…!』
彼の右手を両手でぎゅっと握りながら、俯き、絞り出したように出した声だった。
ーーあれほど無視し続けて、ひどい対応をし続けていたのに、彼は何食わぬ顔で再び声をかけてくれて、こうして隣に来てくれた。
そんな彼の優しさに、彼女は涙をこらえることが出来なかった。
『…私っ……ずっとラビくんに酷いことしてきたのにっ…』
ラ「それは違うさ、Aちゃん。傷つけたのは俺の方。そんなことされたって仕方ないことをしたんさよ。…俺だって、ちゃんと謝らないといけない。
……ごめんな。」
彼もまた頭を下げる。
そんな彼の前で、彼女は目から涙を溢れさせたままで、否定するように首を大きく振り続けていた。
『…っ…』
ラ「…許してくれなくて全然いいからさ。…ただ、一つだけちゃんと聞いておきたいことがあったんさ」
彼女が握ってくれている手をそっと握り返しながら、ラビは真っ直ぐ彼女の目を見て言った。
ラ「ーーAちゃんはドア越しに話したあの時、自分にも怒ってるって言ってた。…それで…暫く部屋に閉じこもってたよな。
…あの時、どうして怒っていたのか…ちゃんと理由を知りたいさ。…話してもらっても…いい?」
あの時ラビは、Aは自分に対して怒っているのだと思っていた。
ーーけれど、ドア越しに話した時の彼女はそうではなかったから。
当時の彼女の怒りの理由を、はっきりと確かめておきたかったのだ。
ラビからの問いに、Aはゆっくり頷き口を開いた。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時