ドア越しの話 ページ16
ラ「…」
ひとまずAの部屋のドアの前まで辿り着いた。
様子見てくる、というラビの言動にアレンは少々驚いていたが、彼女を頼みます、と快く送り出してくれた。
(コンコン)
やや緊張しながら、ドアをノックした。
少しの沈黙の後、ドア越しに声が聞こえた。
『はい、どなたでしょう?』
アレンが言っていたように、いつも通りの明るい彼女の声であった。
聞いたのはいつぶりになるのだろうか。
ラ「…俺さ、ラビ。…話がしたくて。」
案の定、すぐに返事は返ってこなかった。
しばらくの間答えを待つと、再び声が聞こえてきた。
『…ラビくん、怒ってる?あの時のこと』
やや暗いトーンだった。
彼女のこのような喋り方は初めてかもしれない。
ラ「怒ってるわけないさ。…あの時は、機嫌の悪さに任せて相当酷いこと言った、俺が全て悪い」
ひとつひとつ言葉を選び、彼女の返事を再び待つ。
『……私は、ずっと怒ってるよ』
ラ「!!」
ーーー怒っている。Aが。
これは彼にとっても…恐らく、教団の誰が聞いても前代未聞のことである。
予想外の返答に、ラビは思わず言葉を失ってしまった。
何も返せず黙っていると、ドア越しにまた声が聞こえた。
『勿論ラビくんに。…でも、自分自身にも。怒ってるの』
ラ「…だから、Aちゃんは悪くないさ!!」
『……ごめんね、しばらく1人にさせて。今はまだ…ラビくんとは話したくないの…』
ラ「………っ…わかったさ。」
聞こえてくるAの声があまりにも辛そうで、胸が痛くなる。
ラ「…ただ…これだけ言わして。…これは俺とAちゃんの問題だから…。
ーーあいつには…アレンには、ちゃんと会ってやってほしいさ。物凄く心配してたぜ。」
『…』
ラ「じゃあ、戻るさ。…大丈夫そうになったら…必ず、ちゃんと会って話そうな」
それだけ言うと、ラビは彼女の部屋のドアの前から去っていった。
ーー彼女に負わせてしまった傷は、思ったより深かったようで。
これから彼は、彼女とどう接していくのだろうか。
2人が再び会話をする時は近いのか、将まただいぶ先になるのか…それは彼ら次第である。
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みれい(プロフ) - すごく面白いです!アレン推しなので、アレン落ちの小説が少ないのですが、その中でもめちゃくちゃ好きです!更新楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: b87f86880a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナジカ | 作成日時:2018年1月31日 22時