D.gray-manー2人で歩く道 (ページ11)

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安心ページ11

A『…はあ…』

アジア支部から戻り、食堂で昼食をとりながら、書類を机に広げてため息をつく。

(…言う前から覚悟はしていたけれど…やっぱり心が痛いなあ…)

ここに来ても、蝋花の笑顔が脳裏に浮かぶ。

ーー笑っているけれど、あれはいつもの笑顔ではないように見えた。

(…気使わせちゃったみたい。蝋花ちゃんのことだもん、色々こらえてあんなこと言ってくれたんだ…)

彼女の想いを無駄にしないために、今の自分に出来るのは、アレンを幸せにすること。

(あの子の為にも…色々頑張らないとね)

？「…あれ、Aもお昼ご飯ですか？」

『！！…アレンくん』

1人で考え込んでいたので、突然かけられた声に少々驚きながら彼の方を見た。

ア「あ、驚かせちゃいました？すみません。
…向かい側、座ってもいいですか？」

『ふふっ、大丈夫。ちょっと集中してたからね！どうぞ～』

ア「ありがとう。…何か、難しい考え事してたんですか？」

『うん？』

いただきます、と手を合わせ大量の料理に手をつけながらアレンは口を開いた。

ア「あんまり、食事が進んでいないなあって思って、A」

『…』

確かに机を見ると、目の前の好物であるキムチ料理はそれぞれ一口ずつしか口にしておらず、すっかり残されていた。

『あ～、貰った書類見ながらだからね～』

ア「…いや、A、よく調べ物とかしながら食事してますけど、普段はちゃんと食べながらやれていますよね」

彼には彼女の誤魔化しなんて効かず、じとりとした目でAを見つめた。

『…えっと…』

逃げ場がなくなり目を泳がせるのを見て、アレンは吹き出した。

ア「…ふふっ。そんな無理に隠さなくていいんですよ。…今までとは違いますから、遠慮なく僕を頼ってください」

『アレンくん…』

彼の笑顔を見て、自分の中にいた重たいものがすっかり軽くなった気がした。

かけてくれた言葉に対する嬉しさのあまり、Aは彼の左手を両手で握った。

『うん、うん…！！ありがとう。…やっぱりアレンくんの笑顔と言葉はすっごく安心するね、いてくれて良かった！』

ア「！」

『…アレンくん？』

ア「いやあ、えっと…嬉しくて、ですね…」

照れ隠しなのか、右手で赤くなった顔を覆う彼を見て、Aはクスリと笑った。

『…ふふっ。』