【HQ】鈍感少女 vs 仮病少女 2

481. 及川の推測 ページ34

及川side


烏野のマネちゃんが戻ってきたのは、それから数分経った後だった。


清「遅くなってごめん」


そう言ったマネちゃんの手には何もない。

これだけ皆を待たせることだから、きっと意味なく部屋に向かったわけじゃないと思うけど……。


清「今、若葉ちゃんの鞄を見てきた。でも、薬らしきものは入ってなかった」


淡々と話すマネちゃんだけど、その言葉には耳を疑った。

薬がないって、どういうこと？


岩「Aが薬なくすなんて、有り得ねえよ……」


隣で岩ちゃんがボソッと言った。

俺も同じ考えだ。

行く前にあんなに喘息のことを心配していたAちゃんが、薬をなくしてしまうなんてこと普通なら、ないはずだ。

責任感強いあの子なら、薬の管理を怠るなんてことはしないはず。

でも、実際に鞄の中には入っていない。

一瞬部屋のどこかに置き忘れたのかとも思ったけど、マネージャーは全員で6人もいるんだ。

そんなに人がいたら、誰かが必ず気づくはず。

それもないということは、誰かが持ち出した以外に考えられなかった。


及「ねえ、もし……誰かがAちゃんの薬を盗んでいたら？」

黒「そりゃ流石にねえだろ。そうしなきゃならない理由がないだろ？」


俺の推測は黒尾クンに即否定された。

確かに、そう言われてしまえばそれまでだ。

アリバイとかで絞れるかと思ったけど、2日目に薬を飲んでから、3日目の夜にAちゃんが気づくまでには大分時間がある。

こんなに大勢の人のアリバイを、一度に証明している方が時間の無駄だ。

さて、どうしたものか……。

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