家に帰ろうと思ったら拉致されました 続【オリジナル】

79話 ページ39

貴『…んー！んん！！』


引っ張っても引っ張っても抜けない



貴『…(もうダメなのか)』


ロンガ「…」


何かが私に近づいてくる

…あぁ。死ぬのか


すると私の予想とは裏腹に


とても温かい何かが私を包み込んだ


ﾌﾜｯ


ロンガ「…もう、やめろ」ｷﾞｭｯ


何かに縋るように発せられるその声は


私の奥の方で何かが響くような気がした


私の体にそいつの腕が絡みつく


段々と力が強くなる


…絞め殺されるのだろうか


私は抵抗した


ナイフから手を離しそいつから離れようとした


グイグイと手をどかす

しかし

ロンガ「…」


そいつは私を離さない


ジロ「…ﾀｯ」


獣も私に擦り寄る



……温かい


それでも私は抵抗する


バタバタと惨めに動く


だけど


ジロ「…もう。終わったぞ主」


スリスリと体を押し当ててくる


やめろ


やめろ


…



…終わっ……た？


ロンガ「…(抵抗が…？)」


フワフワと温かいものが私の中に入ってくる


___主



__＿A



私の事を呼んでいるのだろうか



＿_＿Aちゃん


そうか、私の名前…


するりと力が抜ける


ロンガ「…と」



私はそこで意識を手放した


_＿_＿_＿__＿_＿__＿_

(ロンガ視点)


彼女の抵抗が無くなったと思えば体全体から力が抜け


俺に倒れ込んできた


どこからか彼女の安心した雰囲気が伝わる


ほっとしたような顔


…けれど、きっと口は閉じたままだ


次郎「…まだ、早すぎた」


苦痛の顔を浮かべ、彼女を見る


…このサーバントウルフをここまで手懐けるか


ミア「…」


するりと彼女の髪を撫でる


彼女の顔からも苦痛の表情がうかがえた


ミア「…ロンガさんありがとうございます


秋人、医務室に彼女を」


笑顔になりきれていないまま


秋人に指示を出す


秋人「…了解しました」


ロンガ「…(本当に何を思っているのか分からんな)」


ずっと無表情の秋人


戦っている様子からも彼女への興味を感じない


ロンガ「(冷静というべきなんだろうが)」


あまりに冷静過ぎると本当の何かを失ってしまう


ロンガ「…(俺が言えたことじゃないな)」



秋人がAに触れようとした時


ぼふんっと音をたて人が現れる


そちらに視線を向けるとあのサーヴァントウルフが変身したところだった


次郎「…わしが運ぼう。


……主に触るな」


秋人「…ﾋﾞｸｯ」



殺気だて秋人を目で追い払う


まるで”私のものだとも言うように”

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