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episode43&宣伝 ページ45





「手前は性根の腐敗が全身に回って死ね」

「中也は帽子に意識を乗っ取られて死ねば?」

互いに罵り合う太宰と中原を、Aは口を挟むことなく、見守っている。


三人は、完全に油断していた。
敵は、すでに排除できたと。


だから、再び触手が勢いよく、その鋭さを増して三人に向かって来ているのにも、ソレが太宰の片腕をもぎ取るまで気づかなかった。否、反応ができなかった。
太宰の身体は二度、大木に容赦なく叩きつけられる。



Aと中原は敵の正体を正しく認識し、その頬を引き攣らせていた。

「おいおい……こりゃ本気でどういう冗談だよ…?」


月にまで届きそうな、その巨体。
全身から生える、触手。
何処から如何見ても化け物以外の何者でもないそいつに、Aは思わずひゅっと息を呑む。


そして、ハッとしたように太宰の元へ駆けていく中原を見て、ようやく我に返りその後を追う。


「太宰…腕が」

太宰の片腕の肘から下がばっさりもぎ取られているのを見て、顔を青ざめる中原。

「中也…死ぬ前に…聞いて欲しいことが…」

表情を苦痛に歪める太宰に、Aは冷ややかな目を向けていた。“片腕取られたくらいで人間死ぬわけが無いし、そもそもそれくらいでお前が死んでくれたらこちとら苦労などしていない”と言いたげな目である。

しかし、中原はそんなAの様子に気づくことなく「何云ってやがる!手前がこんな処で……」と必死な形相で太宰を心から心配していた。



「ばあ」


そんな中原の心配を無碍にするかのような、呑気な声。それと共に出てきた、もぎ取られたはずの片腕。

『…矢っ張り』


失ったと思われていた腕は、太宰がフェイクで用意していた偽の腕。ケラケラと笑いながら五体満足の様子をひけらかす太宰の胸ぐらを、中原は怒りと羞恥の混ざった顔で掴み上げる。


「手品してる暇があったらあの悪夢をどうにかする作戦を考えろ!」

怪物を指差し、怒鳴り散らす中原に相も変わらず太宰はニコニコとしながら「いやぁ、無理無理。諦めて死のう。もう残った手は“一つしか無い”しね!」などと言い放つ。


太宰の言葉にAと中原の表情が困惑へと変わったのを見て、太宰は一層その笑みを深めた。





──────

文スト作品ではありませんが、銀魂の神威にハマって手を出しました。もし少しでも興味があればよろしくお願いします。


第七師団の参謀さん【神威】

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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