episode34 ページ36
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「君は……」
自身を見て目を見開く人虎君を無視してモンゴメリは私から視線を外さない。
「…貴方に何がわかるのよ。牢獄部屋行きを“慣れている”なんて言ってたけど。…売れ残りの交織服で一年過ごした事はある?熱した火搔き棒で折檻された事は?この傷の痛みと苦しさがどんなものか貴方に想像できて!?」
『……痛みも、苦しみも、絶望も。全部知ってる』
私の言葉に、更に逆上したモンゴメリは袖をまくって此方に腕を突きつけてくる。その腕には、痛々しい程の傷痕が多数残っていた。
「服を替えるよう言われた時、貴方の体を見たわ。力仕事のひとつも知らないような真っ白で綺麗な肌だった」
お前の身体にこんな傷痕なんかないだろう、とそう言いたいらしい。
『残るわけないでしょう、私の異能は治癒能力もあるんだから。…組織の盾にされて死ぬほど弾丸を受けても死ねない、拷問は永遠に苦痛を与えられるように
「っ……」
でも
今は違う
『差し伸べてくれる手が、私を救ってくれた。…貴方にも、まだあるでしょう』
視線で人虎君を促せば、彼は はっとしたようにモンゴメリに正面から語りかける。
「……わかったわ」
ぽつりとそう呟くモンゴメリの声が聞こえ、次の瞬間にはアンの部屋に転送されていた。
「あのドアを
『理解が早くて助かります』
にこりと彼女に笑みを向ければ、ふんっ、とそっぽを向かれてしまった。どうやら私は彼女に嫌われる運命らしい。まぁ中也さん以外に何と思われようがどうでもいいけれど。
「…ついでに、これも持っていきなさい」
そう言って彼女は人虎君にQの人形と
『…これ』
中身は此処に連れて来られる前に私が着ていた服。
やっぱり、彼女が管理してたらしい。
「貴方には、そんなヒラヒラした服より其方のほうが似合っているわ」
『私もそう思います』
そう言って履いていたロングスカートを脱いだ。
視界の端で、顔を茹で蛸の様に赤くする人虎君やらそれに慌てるモンゴメリやらが見えたけれど、無視をした。
赤い
『じゃあ、行くよ。人虎君』
そう声をかけ、覚悟を決めた人虎君と共に私たちは白鯨から飛び降りた。
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時