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episode32 ページ34




フィッツジェラルドの話を要約すれば、彼は世界にただ一冊のみ存在する『本』を探しているとのこと。
その本は横浜にあると予言されている為、Qとジョン・スタインペックの異能を使って横浜を街ごと焼け野原にしてしまおうと、そういうことらしい。


組合の作戦参謀さまは中々に思考が過激である。



そして、ケタケタと笑い出したQの人形を何の躊躇いもなく引き千切ってみせた目の前の男も、中々残忍だ。



隣で人虎君が息を飲むのがわかった。




『…組合の目的は理解しました。で、私をここに連れてきた意味は?人虎くんと違って私はあなた方に目をつけられる理由がないのですけれど』

溜息を吐きながらそう云えば、フィッツジェラルドはまたも愉快そうにニヤリと笑った。


「理由ならある。我々は君を買いたい」

『………はぁ?』

思わぬ返答に、眉を顰める。が、そんなことはお構いなしだというようにフィッツジェラルドは言葉を続ける。


「君の異能は実に素晴らしい。そこに居るだけ(・・)で軍の勝利が確定するのだからな。君の前ではどんな軍隊も兵力も意味をなさない。それに、どんな重篤な状態であっても君に触れられされすれば直ちに傷は癒える。喉から手が出るほど欲しい力だ」

『…それは、どうも』

「あまり信じてなさそうだな」

『…その割には、かなり寛容な捕らえ方だなと思っただけです。彼のように拘束具をつけなくていいんですか?』

「君の異能は0か100かだ。この状況で100の力を使うとは思えん」

『……』


無言を肯定と捉えたフィッツジェラルドが再び楽しそうに笑う。今すぐ存在を消してやりたい程憎々しいが、彼の云う通り敵の拠点で脱出方法がわからない今、此処で異能を使うことは出来ない。




『確かに、その通りですね。…話が終わりなら、少し人虎君を借りたいのですが』

そう言って人虎君の首根っこを掴んで引き寄せれば、驚くほど簡単に人虎君の体制は崩れる。
…探偵社はもっと、異能に頼らない方法で自身を強化するべきなのではないだろうか。
それから、背後から禍々しい殺気を感じる。




「…まぁ、いいだろう。ただし彼を君が先ほどまでいたような部屋に案内することは出来ない。彼と話すなら君も牢獄部屋行きになるぞ」

試すような口調でそう云うフィッツジェラルドが余りにも可笑しくて。



気づけば、私も彼のように口元に弧を描いていた。









『構いません。むしろ其方の方が慣れています(・・・・・・)

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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