episode31 ページ33
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『あ…』
廊下を歩くこと数分、やっと人影を見つけた。
この状況からして組合は私に今のところ危害を加える気は無いだろうと判断し、その人影に声をかけた。
『あの、少しお時間頂いても?』
「……」
が、その人影は以前任務に失敗して組合から追い出されたであろう筈のモンゴメリで。
彼女の方も私に見覚えがあり、かつ私がポートマフィアの人間だと把握しているらしく、とてつもなく鋭い目つきで「何よ」と一言返事をされた。問うまでもなく彼女は私のことが嫌いなようで、また彼女が雑用係として組合に残っていることは見て明らかだった。
現に今も彼女は雑巾片手に掃除の真っ最中らしい。
『お仕事中すみません。単刀直入に言いますけど、此処に貴方のボスはいらっしゃいます?是非ご挨拶したいのですけど』
「…ついてきなさい」
心底嫌そうな顔をしつつも長から指示が出ているのか案内してくれる気はあるようなのでありがたく後ろをついて行く。
『…組合って随分敵対組織に寛容なんですね。普通、捕虜をこんな野放しにしないでしょう』
「そうね」
『因みに私の服はどちらに?』
「私が知るわけないでしょ」
『……』
どうやら彼女は私とまともに話をする気がないらしい。…組合から彼女を追放したことが原因だとすれば、その張本人は私ではなく人虎君だというのに、全く逆恨みもいいところである。
「この部屋よ」
いくつもの角を曲がり辿り着いた先は、この建物の最奥のようで。扉の作りからしても、他の部屋とは格が違うのであろうことが容易に想像できた。
ガチャリとノックもせずに扉を開けたモンゴメリは、そのままスタスタと部屋の中へ入っていく。続けて私も足を踏み入れれば、其処に居たのは組合の長であるフィッツジェラルド。
それから──
『…人虎君』
まさか、彼までいるとは。
否、彼が組合に連れ去られたのは知っていたが
まさか此処で対面するとは微塵も思っていなかった。
そしてそれは人虎君の方も同じだったようで私の顔を見るなり彼は目を見開き一切の動作を停止していた。なかなかに面白い絵面である。
「随分と早いお目覚めだったな。起きるのは2日後くらいだと思ってたんだが」
『…伊達にポートマフィアやってるわけじゃないので』
ほぉ、と態とらしくフィッツジェラルドが感嘆するのを沈黙で受け流せば、彼はニコニコと楽しそうに笑った。
「そう敵意をむき出しにするな。丁度いい、君達二人に組合の目的を話してやる」
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時