episode25 ページ27
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「まぁ、挨拶はこのくらいにして。“善い話”って何?」
口元だけの笑みから一変、人当たりの良い笑顔を見せる彼に、一枚の折りたたまれた大きめの紙を渡す
「…地図?まさか此れが、“善い話”?」
彼に渡したのは、此の近辺が詳しく描かれた地図
そして、女性二人が映った一枚の写真を提示する
『中央の印。其処に贈呈品があります』
探偵社員──それも、非異能力者の事務員。
彼等の目の色が変わるのが手に取るようにわかった。嗚呼、なんてわかりやすい…
『あなた方も先ほど仰っていたでしょう。ポートマフィアの所為で以前取り引きが失敗したと。此れは其の件の、お詫びです』
「成る程ね。うん、確かに“善い話”だけど胡散臭いなぁ。信憑性に欠けるし、罠の可能性だってある。此処に僕等が向かったら、其方の思うツボ、じゃない?」
至極真っ当な意見。
確かに、その通りだ。
───だけど
『私はこういう時 嘘は云わない。そしてマフィアは此の件に手出しをしない。それに若し、組合の貴方達に危害を加えるなら…」
今、此の時点で私が手を下していますから。
ピリっと、彼の纏う空気が変わった。
「僕は、君の事が嫌いかもしれない」
『奇遇ですね。私も貴方のこと、嫌いです』
視線を交わす事数秒、先に逸らしたのはジョンの方だった。
「…わかった、此れはありがたく受け取るよ。残念だけど君が嘘をついているようには見えないし、仮に罠だとしても《餌》が魅力的すぎる」
『そうですか。…《君達の能力なら罠ごと粉砕できるだろう?》と、首領からの伝言です』
「あぁ、やっぱり罠はあるんだ」
苦笑いをこぼすジョンを横目に時計で時刻を確認する
…そろそろ移動しなければ、次の仕事に間に合わなくなってしまう。
『罠はあっても相手はたかが知れている。規模も大きくない。余裕ですよ、きっと。では、私は此れで失礼します』
「うん。それじゃあ──
踵を返して数歩歩いた所でかけられた言葉に反応して、思わず足を止めて振り返った。
彼は それはそれは楽しそうな表情でひらひらとこちらに手を振っている
『…私と貴方が次に会う機会はないと思いますけど』
「そう?僕はまた近々会う気がするよ」
『……』
「僕の君への《嫌悪感》は同族嫌悪みたいなものなんだけど、君は違った?」
問いに答える事なく、彼等に背を向け今度は止まる事なく足を進めた
矢張り、私は彼が嫌いだ
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時