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episode15 ページ17




『ーーじゃあ、後はお任せします。軍警が来ると面倒なので急ぎめで』

よろしくお願いします、と軽く首を傾ける程度の、会社でやったら“明日から来なくていいよ”なんて云われかねないふざけた物言いでも 誰も何も云わない。
寧ろ“かしこまりました”と敬礼される。

自分で云うのもなんだけど、偉くなったな私



マフィアに入って間もない頃は まるで汚いものを見るかのような目を向けられていたのに何時からかそれは、嫉妬や憎しみへ。

“運が良かっただけの能無し”
“異能力があるだけの使い捨ての駒”


何度吐かれたかわからない暴言も準幹部の位についた今では目に見えて減り、尊敬や信頼の類の視線が多くなった。


最初は呼吸をすることさえも難しく感じたこの場所(ポートマフィア)も、今は居心地がいい。
…もちろん思い出したくもない過去も此処には嫌というほどあるけれど。

それを含めてでも、この場所に居たいと思う自分がいる。



信頼できて、敬愛する上司

普段は只のロリコンだけどやる時はやる首領

困った時にすぐ駆けつけてくれる姉御肌の幹部

何だかんだで話を聞いてくれる同僚

可愛い直々の後輩……は未だ居ないけど、いつか欲しいとは思う。





今の私を見たら、彼の人は何て云うだろう


昔とは違う私を見ても 相変わらず冷めた目で、お決まりの台詞を云うのだろうか。






「あの…後始末、終了しましたが…」

『え、あぁ…』


私が物思いにふけっている間にも 黙々と仕事をしていた構成員さん達のおかげで数分前まで血の海だった其処は、いつも通りの姿を取り戻していて。


『ご苦労様でした、引き上げて下さい』

自分よりも歳下の女に命令されても手本のような敬礼をして、素早く撤退していく構成員さん


『…ほんと、偉くなったよね…』


世の中何が起こるか本当にわからないものだ









“感情のない殺戮兵器”


“お前はその力で云われた通りに暴れてればいい”

“お前に出来ることは、人殺しくらいだろ”









数年前まで毎日のように云われていたその言葉はいつだって、忘れたことはない




『ねぇ、兄さん』





いつかもう一度、二人で────






呟いた言葉は 誰にも届くことなく風に包まれた

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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