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episode13 ページ15

「気づいているなら話は早い。A、あまり敦君と関わらない方がいい」

そのほうが身のためだよ、と。
太宰さんは先程までとは違う、真剣な眼差しでそう云った。


『それは脅し、ですか』

「いいや、只の助言だよ。君の上司の元相棒としてのね。…組合(ギルド)が狙っているのが敦君だけだとは限らない」


『…確かにマフィアと組合の取引は失敗に終わりました。このまま組合が黙っているとは考えにくいです』





でもーーー



組合ごとき、マフィアの敵ではありませんから




そう言い切れば太宰さんの表情はさらに陰りを見せる。

「…その余裕が命取りにならないといいけど。A、本当に生き残りたいのなら“任務”以外の外出は控えるべきだよ」


それは まるで私の身を本気で心配しているかのような口ぶりで。
そんなわけ、ある筈ないのに。


でも、これ以上 何を云っても無駄なのだろう


こういう時の太宰さんは 此方が何を云っても絶対に引かない。此方が折れるしかないのだ。




『分かりました、善処します…』

「ありがとう」



半ば押し切られる形で了承すれば、目の前の彼は心底安心したようにホッとした表情を見せる


此の人は、本当にーー。






「………なに?」

『いえ、何も。相変わらず顔だけは素敵だなと思っただけです』


頭で考えていたことを打ち消すように態と嫌味を云えば 太宰さんもお返しとばかりに悪態を付いてくる。

「そりゃどうも。君も相変わらず容姿だけは文句無しだけれどもね、性格が最悪すぎる」

『その言葉そのままお返しします、包帯付属品』

「猫かぶり女」

『陰湿男』

「中也中毒」

『照れるので急に褒めないでください、社会不適合人間さん。でも、それ以上云うとこの場に中也さんを呼びますよ』


勝ち誇った笑みを送れば顔を引きつらせながら太宰さんは降参、のポーズをとる。

「無理、それだけは止めて」

『じゃあさっさと探偵社に戻って下さい』


そう云えば、太宰さんは盛大にため息を吐きつつも大人しく表通りの方へと歩いて行く。



「…A」

表通りに出る直前で 太宰さんが足を止め、けれど振り向かずに


この前言いそびれたけど…綺麗になったね




それだけ云って また足を進めた彼の姿は暫くして見えなくなった。





『…何それ』


これだから、太宰さんはずるい。
忘れたいのに、忘れさせてくれない

『私の身が心配なら、戻って来て下さいよ』


だなんて、本人には絶対云えないけれど。

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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時

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