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第40話─悲痛─ ページ41

マフィアに戻ってくると、皆が目を見開いて僕の姿を心配そうに見ていた。




「A!!!どうしたのじゃ!その───だ、───」


「Aさん!?どう───」



なんで、私の周りの声が雑音になってる。聞こえない。何も聞こえない。


ただ、自分が何故か泣いてるのはわかった。


「すみません!A借ります!行くぞ!!」


そう云って私の手を引く。私の執務室に連れてこられた。そして、電気がついて、私をソファに座らせた。



目の前にいるのは中也だ。だけど、怖くて、手が震える。そして、中也の手を振り払い、ただただ過去と中也を重ねてしまっていた。


中也「A、落ち着け、俺だ、手前を傷つけるやつじゃない」



「もう辞めてくれ、こんな自分じゃない・・・・・・」


『女の癖に、男の恰好?気持ち悪ぃ〜』


「辞めろ、」


彼奴の声が木霊する、泣いてた。自分は辛くて、過去が嫌だから自分を偽ってた。でも、これが自分だ。汚らわしい方が自分じゃない。


「死んじゃえ・・・・・・」

何も考えずにそう云った瞬間後悔で恐怖が出てきた。中也がいるのに・・・。





その途端。





温もりが私を抱きしめてた。


中也「もう辞めてくれ、Aが傷ついてるところなんて、見たくねェ!」


痛い腕が痛い、ガンガンとする頭が痛い。でも何より、滅多に泣かない中也が泣いてて震えてる声が辛くて、苦しくて、心臓が痛かった。


中也「お前の過去を、知る資格なんてないと思ってた・・・だから、敢えて訊かないようにしてた・・・其れが、今の関係を保てると思ってた、だが、それが間違いだった、」



ゆっくり離れた途端、目の前にあるのは、眼が蒼く涙でキラキラと光る苦しそうに顔を歪ませた中也の顔だった。


中也「無理にでも聞けば良かった・・・・・・そしたら、手前が彼奴に無理やり過去をバラされてお前が苦しんで俺たちが知るよりは、俺が悪者になってお前の過去を知ってそばに居てやれば良かった・・・・・・」


中也「ごめんな・・・・・・」


「なんで中也が謝るの・・・・・・」


中也「大切な奴の辛い顔なんかさせたくないって心に決めてたのに、そうやって辛い顔をさせちまったから・・・・・・」


中也の黒い手袋を嵌められた手が私の頬に触れた。手袋越しでも分かる、中也の温もりと優しさだった。


中也「他の奴らが触れるの嫌だろうから、俺が処置していいか?」

第41話─己の姿─→←第39話─生け捕り─



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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/  
作成日時:2021年8月14日 0時

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