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第29話─強く─ ページ30

「別に、それ毎回云うけど、兄さんのせいじゃない。私は、兄さんに助けて貰ったから」


太宰「A・・・・・・」


「今でも、怖いよ、男の人が、また、何かされるかもしれないって、だから、眠るのが怖い、でも、自分も強くならなきゃ行けない」



胸の処でぽつりぽつりと話しながら、その声は震えていた。私の耳に届いていて、とても苦しかった。


太宰「君はこれ以上強くならなくて良いんだよ、私が守るから」



「私は、誰かに頼って誰かが傷つくなんて嫌だ・・・・・・今まで兄さんと離れていたのは其れ、もう、人の言葉なんて聞きたくない。兄さんの声も、もうなにもかも嫌なの」




耐えてくれ、どうか、私の心よ耐えてくれ。でも、手はいつの間にか震えてて、両腕で彼女を包むように壊れ物を扱うように抱きしめた。彼女がここ迄云うことなんて無かった。今の彼女は自暴自棄になっているんだ。私が、己の道を行ってしまったから。御免ね。ごめん。



太宰「帰ろうか、」


胸の中で小さく頷く彼女は、探偵社に着くまで一切顔を上げずに俯いていた。だが、私の腕の裾は離さなかった。その手を、自分の右手と繋いだ。久しぶりに手を繋いだな。



やはり、手は女性だった。小さくて、白くて、少し力を入れただけで折れて壊れてしまいそうな。


太宰「A・・・君が過去の私も現在の私も恨んでいるのなら其れで良い。だけど、これだけは忘れないでくれ




──離れても私は君をずっと守り続ける。愛しているから」



私の手の中で小さな手が強く、ギュッと強くなった。こんな感じだったね、小さい頃も君は甘えん坊でいつもを私から離れなかった。今も、顔は見せないのに、躰をくっ付けて、離れたくないと云ってる様だった。


其の儘探偵社に着くと、彼女は毛布を持ってきてまるでだるまのように毛布にくるまって仕事をしていた。


国木田「どうしたんだ、彼奴は」



太宰「ネガティブ思考状態、今話しかけても空気が重くなるだけだよ」


国木田君が私の傍に来て手招きしてきたから、少し離れた処で、国木田君と話してた。あの子のあの状態を見るのは初めてらしいからね。


与謝野「太宰、あんた真逆、Aに変なこと云ってないでしょうねェ?」


太宰「云ってないよ、彼は時々、あんな感じに人が変わる時があるのさ」


与謝野さんが集まると、次に次にと集まっていた。

第30話─重い─→←第28話─兄として─



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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/  
作成日時:2021年8月14日 0時

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