第19話─怖い─ ページ20
A_side
頭がぼーっとする中、目の前には、何時もより目が優しい芥川の姿だった。
躰を動かすのが嫌になってきた。
でも、此処は私の自室。彼が運んでくれたのか、なんて呑気なことを考えていたが、私の口は勝手に彼とお喋りをしていた。
「罪滅ぼしって、貴様に何も非はないだろう」
「あるよ、私は彼の弟、だから、彼が抜けたから私が彼の代わりに全ての実績を保たなければならない、それも、悪役となって、本当はこんな殺しなんてやりたくもない、でも、全てが憎い、全てが怖い、だから、私は自分を殺していきなければならない。全てはそこから始まっているから」
芥川君の目を見ることも出来ず、ただ何も無い白い天井を見つめていた。
「貴様がそんなこと思って全てが変わる訳では無い、全ては貴様の想像の中だからな」
「分かってる、何のために今まで生きてきたか、死にたいからよ」
彼がふっと嗤った。それも、少し幼く、口元が微笑んでいた。私はそれを横目で見て、浮かんできた息を其の儘、吐き捨てた。
「なんで笑うの?」
ギロリと睨むように芥川君を見ると、誤魔化すように口元を手で押えて咳き込んでいた。
「っ、貴様が僕の年下の癖に、矢張り太宰さんの弟で死にたがりなのは、同じなんだなとな......」
「別に、私が兄と同じだからといって兄と同じ道なんか辿りたくないからね!」
「そうか、」
相変わらず、咳き込んでククッと嗤っていた。
「てか、何で芥川君が居るの?」
「中原さんに頼まれた」
「中也に?」
「嗚呼、」
中也がね〜なんて、思いながら芥川君がいるのは彼の優しさからの頼みなのだろうか。
「有難う、芥川君、」
「まだ慣れぬ、貴様がどうしても太宰さんと似てて」
私はふと嗤って、目線をまた天井に戻して呼吸に集中した。兄と似てる。か、
「何処が似てる?」
「全体的に、顔も雰囲気も」
「マジか〜・・・・・・」
ホントなら中也も、芥川君も私の年上で上司だから敬語を使わなきゃならないんだけど、まるで太宰(兄)に敬語で話されてるみたいで逆に恐怖だから敬語無し、呼び捨てでいいと云われた。
うーん、なんかそっちの方が怖いよ。
すると、私はだんだん眠くなってきた。彼の落ち着く声と人が傍に居るっていうので私は安心なのだ。私の今の年齢の時に彼はマフィアを抜けた。私が当時14歳だったな。なんて呑気に考えていたら、瞼が自然と開けたり閉じたりがゆっくりになってきた。
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時