第14話─辛かった事─ ページ15
⚠自傷行為出てきます!⚠
A_side
彼の背中に叫んだ。けど、黒い外套から微かに羅生門が伸びて仄かに揺れるだけ。けど、それでも、返事のようなことをしてくれたのは嬉しかった。
でも、急に喪失感に襲われて、やはり自分が悪かったのでは無いのか。と考えてしまう。部下を一人殺した。その上もう一人殺しそうになった。無駄な犠牲を出すのは首領から辞めろと注意されていた。
はぁ、と溜息を吐けば、ポケットに仕舞っていた刃物をだす。所謂カッターってヤツ。
自室に戻ると、暗い部屋に月の光がカーテンを越えて部屋の中に漏れていた。この明るさでこの気持ちで死ねたらどんなに楽か。
「......」
ふらりと、力なく床に座り込んだ。左腕の包帯を取ると、徐々に血が染まっていて赤くなっていた。何の処置もせず巻いてしまっていた為、血のせいで包帯と傷口がくっ付いていた。それでも外すと、痛みで少し顔を顰めた。
治ってなかったため、ぽつりと血が雫のように現れた。
其の儘、カチカチ、と月の光を反射した刃物がキラリと光った。そして、無感情の儘、腕に切り込んだ。
誰も求めていない。誰も知らない。私だけの時間。そして、私に対する私がするご褒美。それが痛みだ。自分に対する罰だ。
イライラしてた。むしゃくしゃして、強く押し込んで勢いよく引けば、白い何かが見えた。其れが、表面の皮膚じゃなくて、少し肉を切り込んだのはボーッとしながらわかった。
「切りすぎちゃった・・・・・・あは、はは、」
近くに置いてあったティッシュ箱を、自分の方に寄せてティッシュを2枚ほど取りだして垂れそうになる血を拭く。血が出るけど、量が多くて自分の自業自得なのに、それもまたそれでイライラしてた。
「嫌い、嫌い、嫌い、嫌い、嫌いっ、全部大っ嫌い!!!!!」
目の前の腕をザクッと切って結構深めにやってしまった。
「阿呆だァ......」
床に大の字に寝っ転がる。ポートマフィアの幹部が何してたんだか。ある意味、私の方が駒だ。都合のいい駒。兄が居なくなったから兄の代わりに私が入ったようなもの。埋め合わせのようなものだ。溝を埋めるゴミ。
また後処理が大変になる。もういいや、まだ切っちゃおうかな、だって、こんな自分を誰も心配なんかしないから。
痛いよ、腕が、ズキズキと傷む心が、ガンガンと頭が痛い。痛い・・・・・・全身が痛い。誰かに抱き締められたい。誰かに、強く、骨が折れるほどに。
誰か...____
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時