第１３話─貴方が─ ページ14
芥川＿side
不意に恐怖に躰が支配され、気がついた時には彼を羅生門で首を絞め殺めようとして居た。怖くて、声をかけることも駆け寄ることも出来なくて、立ち尽くしてしまった。糸が切れた人形のように床に倒れる彼が、僕がしてしまった後悔の結果だった。
彼が咳き込みながら僕の傍に来た。殴られる！そう思った。けど、自分が思ってることと反したことが帰ってきた。
彼が僕を抱きしめた。其れを、頭が追いつかなかった。僕は一体誰に抱きしめられているのだ。太宰さんのはず、けど、確り見ると彼の顔とは少し幼く感じる。この人は、あの人の弟だ。
僕は、そんな彼の弟を殺そうと──
考えれば考えるほど、頭は痛くて怖くなってきた。本当にあの人に似ている。
「芥川君、」
名前を呼ばれて、俯きながら彼の方をむく。その途端、頬を温かいけど、何処か冷たい何かが僕の頬を包んだ。それが彼の手だと気づくのは数秒後の事だった。
「私が、怖いかい？どうしても彼と重ねて仕舞うかい･･････？」
自分の頬は彼に挟まれたまま、自分の目線は彼の濡れて潤んだ瞳に、釘付けでその瞳から目が離せなかった。可笑しい。彼が愛おしいなんて、男だ。そのような事有ってはならないのだ。
「前者の方は否定しておくが、後者の方は...僕にも分からぬ。貴様が、太宰さんに似てるなど、1度もない......」
「じゃあ、なんで私が抱きしめているのに、目は泳いで体は震えているの？怖いからでしょ？」
目線は自分の手に移った。震えていた。止めようとしても止まらなかった。本当に怖いと云ってる様に震えが止まらない。
「彼のせいで、
「貴様が謝ることないだろ、」
「ある、だって、見ていたのに、助けることが怖かった、だから、」
それ以上口を開けさせぬよう僕より小さい彼をそっと抱きしめた。彼も驚いて、少し声を上げていた。
「貴様が刃向かったところで、叶う相手ではない、だから、良いのだ、もう過ぎた話」
そっと離れて、私は彼から離れた。そして、落ちた黒い外套を拾い彼の肩に掛けた。彼は嬉しそうにはにかんで笑顔でいた。
私は彼に踵を返して、その場を離れる。
「私、ずっと芥川君を守るからね！」
年下のくせに、調子に乗りおって。そんな自分も、「守りたい」なんて思ってしまった。
どうしても、許されないのだ。殺しに愛なんて存在しないのだ。
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは･･･?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (
レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん！！コメントありがとうございます！一気に読んでくださったんですか！ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました！更新楽しみにしてます！！ (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：魚Ａｙａ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時：2021年8月14日 0時
