検索窓
今日:20 hit、昨日:19 hit、合計:5,129 hit

ページ8

「先輩が、あげても困らないほうください」





第二ボタンが欲しいです




そんなことは言えなかった




先輩が、あげてもいい方でいい







「じゃあ、こっち」







先輩が着用したブレザーからボタンを外し、私の手を取る




私の手のひらに、置かれた先輩のボタン





「先輩、意味分かって渡してます?」





もしかしたら、そういうのに疎くてわかっていないで渡しているかもしれない




だって、彼は絶対第三ボタンを選ぶと思ったのに、私の手に置いたのは第二ボタンだった








「わかってるよ」




少し照れくさそうに答えた先輩の顔は、今までに見た事のないもので、胸に槍か何かが刺さったような感覚がする






「黒尾先輩、私の事なんて…」







ただの部活のマネージャー






ただの部活仲間






山本たちと変わらず、ただのかわいい後輩








黒尾先輩にとって私は、大事な後輩の1人















「好きだ、A」







先輩のその言葉に、耳を疑った







好き?









だって、黒尾先輩って、ロングヘアのおとなっぽい女の人がタイプじゃん






比べて私は、ボブカットで子供っぽいし、女の子らしさの欠片もない










「黒尾先輩のタイプと、全然違いますよわたし」








「うん。わかってる。けど、タイプと好きになる人は違うだろ」










「俺は、Aが好きだよ」












ずっと聞いていたい程に低くて、かっこよくて、落ち着く声







その声で放たれた言葉に、抑えていた涙はボロボロと零れた










「わ…わたしも、ずっと、ずっと先輩のこと、好きでした、でも、先輩にとって私はただの後輩だって、そう思ってたから、だから…」









私らしくない、震える声






なんて言っているのか、自分でも分からなくなってきた







自分の気持ちを伝えることが出来たこと、彼の私に対する気持ち








混乱、よろこび







ぐるぐると感情が駆け巡り、頭が痛くなりそうだ









そんな私の体を、先輩は鍛えられた腕で抱きしめた











「かわいい後輩っていうのも変わりないけど、俺はAが想像するよりずっと前から、それ以上の存在だったぜ?」













「俺と付き合ってよ」



















fin.

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←タ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 黒尾鉄朗
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むぎ | 作成日時:2024年3月27日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。