ボ ページ6
けど、きっと黒尾先輩は私の事なんて、そういった意味では眼中に無い
じゃじゃ馬で、女の子らしさもない、おてんば娘。放っておけない妹か後輩か、そういう認識だろう
「いいの。話したら、全部言っちゃいそう」
そしたら、優しい先輩はきっと気を使う。
高校卒業という節目で、そんな重荷にはなりたくない
「…別に言えばいいじゃん」
「簡単に言うねぇー…」
確かに、気持ちを言ってしまえば、その気持ちが叶わなくともすっきりはするだろう
けど、それはただの自己満足だ
「A、いつもならギャーギャーうるさいのに、静かなの珍しくね？」
「変なもんでも食ったんスかね」
少し失礼な会話を夜久先輩と山本がしているのが聞こえた
いけない、いつもの私でいなければ
この場を、楽しいもので締めなければ
「変なもん食ってない！あと夜久先輩結構失礼なこと言ってます！！」
研磨から離れ、そう声を上げて駆け寄る
「なんだよ、元気じゃねぇか」
「私はいつも元気ですよ〜！風邪ひきませんから！」
ドンッと拳を胸に当てる。
「Aはいつも元気だね」
にこやかに子供を見守るような顔つきの海先輩。
「ああ、馬鹿は風邪ひかねぇもんな」
「夜久先輩！？？」
インハイ観に行くから頑張れよ、とか
たまに顔出すから練習しとけよ、とか
そんな話で盛り上がったが、そういう時間はあっという間だ。
キリがいいところで先輩たちは3人で帰るという。
多分、3人でファミレスかどこかに行って、思い出話に花でも咲かせるのだろう
「じゃあな」
にこやかに言って、手を振る先輩たち
「ありがとうございました！！」
それに対し、みんなと声を揃えて感謝を述べ、お辞儀をする。
顔を上げると、先輩たちは「おう！」と言って3人並んで校門の方へ歩いていった
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作者名：むぎ | 作成日時：2024年3月27日 13時
