きみの第二ボタン【黒尾鉄朗】 (ページ5)

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蘇る、バレー部での思い出

黒尾先輩との、思い出

楽しくて、でも試合に負けて悔しい思いもして

けど、その全ての思い出が全部幸せで

私の高校生活をたくさんの色で染めあげてくれた

その日は来なければいいのに

先輩たちが、黒尾先輩がいなくなるなんて日は、来なくていい

ゆっくりゆっくり、時間が流れればいいのに

高校に入学するときは、早く桜が咲けばいいのに、早く入学したいと

そう思っていたのに

寂しかった桜木の蕾が、膨らみを大きくしていく

来週には、きっと開花し、春の青空をピンク色に彩るだろう

一番好きな花は桜

似合わない。とよく言われるけど、私は大好きだ

毎年、開花するとテンションがあがる

なのに、もう少しで開花するであろう桜を見ても、私の心は沈んだままだった

"卒業式"

そうかかれた看板が、校門の前に飾られていた

それを見ると、苦しくて口が震える

嫌だな

式が終わり、放課後になると当然のようにバレー部は集まっていた

「黒尾さん！俺、俺絶対今年烏野倒しますから！！」

「おーおー、期待してっぞー」

涙ながらに宣言する山本を見て、笑いながらそう言って肩を叩く黒尾先輩

いつも通り、「先輩の余裕」を見せつけてくる

「クロと話さなくていいの？」

みんなが盛り上がるのを見ていると、隣に立つ研磨が静かな声でそう言った

研磨は、私の黒尾先輩への気持ちに気づいている

彼のバレーや、先輩として、部活仲間として好きだという気持ち以上のもの

独占したい

彼の隣にいたい

ただの部活の先輩後輩、主将とマネージャーという関係ではなく、特別な関係になりたい

私の、わがまま

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