【銀魂】影は貴女のすぐ傍に【沖田総悟】

影14 ページ43

次の日の夕方、俺の隣には顔を真っ赤にしながら俺と恋人繋ぎをするAの姿があった。
"絡み"、つまり町中でイチャイチャしまくってストーカーを誘き出すのが今回の作戦だ。
まぁこの作戦、7割方俺の下心だったりすっけど。


「今日は出て来ねーな…昨日ので学習したのか、それともマジで居ねーのか」

「い、居ないんならやっても意味ないですし離しません!?」

「まだ居ねーって決まったわけじゃねーだろィ、続行」

「うぐぐ…」


Aは男にトコトン免疫がねーらしく、今も恥ずかしいのか顔は見事に真っ赤。
最近は結構な確率でこの赤面顔を拝んでるけど、本人はその顔が俺をどんだけ煽ってるかなんてわかっちゃんねーんだろう。


自分で考えた作戦ではあるが…実は正直、結構キツい。
何がって、俺の欲求を抑えんのが。


傍から見りゃカップルが手繋ぎデートしてるようにしか見えねーこの状況は、フリとはいえ俺が長ェこと望んでたことであって。
健全な青少年である俺がムラッとキても自然なことだろう。


寧ろ来なきゃ男じゃねェ。
頼むから落ち着けよ俺の息子。


「でも、沖田さんは嫌じゃないんですか?」

「あ?何がでィ」

「私みたいな女っ気皆無の奴と手なんて繋いで、デ…デート、なんて…」


俺が欲求を抑え込むのに必死こいてると、不意にAからそんな言葉が飛び出した。
…Aは何処までも、自分を女らしくねーと思ってる。


鍛冶師ってのは男女比で言やァ圧倒的に男が多い。
それに職業柄、身を飾り付けるようなモンはどうしたって邪魔になる。
鍛冶師って職には誇り持ってるし、後悔こそしてねーが…それでも年頃の女らしい部分が何もねーのは気になんだろう。


そういう風に思うAの気持ちもわからんでもねェ。
…だけど。


「前から言ってんだろィ、おめーと居んなァそれなりに楽しいって。それに、どーでも良い女に恋人のフリ(こんなこと)してやる程俺ァ暇でもなけりゃ優しくもねーよ」


そういう部分も全部ひっくるめて、俺はAに惚れてる。
これ以上ねーくれェ完璧に惚れ込んじまってる。


おめーとのデートが嫌じゃねーのかって?
嫌なわけねーだろう。


惚れた女と手ェ繋いでデートすんのを嫌がる男なんざ何処に居る。
惚れた女の為じゃなきゃ、俺が自分の時間割いてまで護衛なんざするわけねーだろィ。


そう言っちまえればどんだけ楽か。
けどそれを言うのは今じゃねェ。
事の全てが終わったら、そんときゃ…。

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