【銀魂】影は貴女のすぐ傍に【沖田総悟】

影7つ ページ36

「そーいや、ちィと夜に仕事入っちまってねィ。なるべく早く終わらすようにはするが、多分今晩は来れねェ。だから帰る時十分注意しろィ」


護衛を始めてから1週間ほど経った辺りで、俺は次の作戦を始動させた。
俺が護衛から外れたタイミングで、またストーカーが現れるっていうシナリオだ。


俺が居なきゃストーカーに追いかけられる、そう思わせることで俺がAにとって必要不可欠な存在だと理解させる。

俺への信頼をより強固にするためのこの作戦。
下手打ちゃ俺がストーカーだと勘付かれる危険性もあるが、Aはそこまで感が鋭くねーし大丈夫だろう。




以前と同じようにストーカー…つまり俺の気配を感じたAは、また着物と草履で走って逃げ出した。
あーあー、またあんなに走りやがって。


転ぶかもしれねーって前に言っただろィ。
…ま、緊急時じゃそんなん考える余裕はねーか。


適度に距離を空けつつ、完全には追いつかねーような速度で追いかける。
これを続けてたら、俺の耳が泣いているあいつの声を拾った。


「ヒック…おき、たさん……」


Aが俺に助けを求めてる。
それがこれでもかってほど伝わってくるその声に、俺の体は動いた。


「呼んだかィ」

「え……」


か弱いあいつを壊しちまわねーように、俺の腕ん中に優しく包んでやる。
あんな声聞かされちゃ、出て行かねーわけにはいかねーだろ。
いやまぁ、怖がらせたの俺だけど。


「よォ。助けに来てやったぜィ」

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