【銀魂】影は貴女のすぐ傍に【沖田総悟】

足音22 ページ23

「おいでなすったぜ」

「へ?」


その言葉を聞くと同時に、昨日と同じ視線と感覚が全身を襲った。
ストーカー(あいつ)だ。


「ッ!?」


沖田さんの言葉の意味が嫌でも理解できてしまい、また私の体は恐怖で震え出す。
でも何故か、昨日よりも感じる恐怖心は小さい気がした。


怖いけど、怖くない。
そんな不思議な感覚が私を包み込む。
否、今私を包み込んでいるのは。


「落ち着け。安心しな、おめーのこたァ俺がちゃーんと護ってやらァ。俺の傍に居る限り、おめーには傷一つだって付けさせやしねーよ」

「お、沖田さん…」


ニィと不敵な笑みを浮かべながら、沖田さんはそう言った。
強く抱きしめていてくれる逞しいその腕と自信に満ちたその言葉が、私の中の恐怖心を取り去っていく。

この人に任せていれば何も怖いことは無いんだと信じさせてくれるだけの力が、そこにあったから。


「とっとと出て来やがれストーカー野郎、そこに居んなァわかってんだぜィ。いつまでも"俺の女"を怯えさせてんじゃねーや」


"俺の女"。
そんな風に言われたことには驚いたけど、その言葉が挑発だということにすぐ気付く。


沖田さんの挑発はストーカーの琴線に触れたようで、殺気を振りまきながら、物陰から刀を手にした一人の男が姿を現した。
その男はいかにも攘夷志士です、と言わんばかりの風貌で、血走った眼を沖田さんに向けている。


この人が、今まで私を追いかけてたストーカー…。
うん、全然知らない人だわ。

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