【銀魂】影は貴女のすぐ傍に【沖田総悟】

足音17 ページ18

「…顔真っ赤」

「あ、あああ暑いからですよ!!ほら、早く帰りましょう!!家に買い置きのアイスがありますから!!」


顔が赤くなってることを指摘されたら変に気恥ずかしくなって、つい歩調が速くなってしまう。
とは言っても男と女の歩幅はどうしたって差があるから、沖田さんにはすぐ追いつかれてしまったけど。


「おい、着物であんま急ぐと危ねーぜ」

「だ、大丈夫ですって!…って、ちょ!?」


勢いよく沖田さんの方を振り向けば、足が縺(もつ)れたのかバランスを崩してしまった。
グラリと体が後ろに傾いて、視界が回転する。


ヤバい、マジで転ぶ…!!

これから襲い来るだろう衝撃に備えるべく、ギュッと目を閉じる。
だけど私が感じたのは痛みなんかではなく。


「ったく。だから言ったろィ、危ねーって。怪我して鎚触れなくなったらどーすんでィ」

「お、沖田さん…」


気付けば私の体は沖田さんの腕の中。
バランスを崩した私が転ぶ前に、沖田さんが助けてくれたらしい。
すぐ近くに彼の整った顔があって、また顔が熱くなった。


「た、助けてくれてありがとう…ございます…」

「おー。次から気ィ付けろィ」


…アレだよね。
イケメンの顔は目の保養になるけど、それが目の前にあると…もう凶器だよね、破壊力抜群。


そんな時だった。


「ッ…!?」


突如全身を襲った気持ち悪い視線。
けどそれは今まで感じていたものとは全く異なるもので。
まるでナイフか何かでグサグサと刺され続けてるみたいな、そんな冷たい痛みすら感じるような視線だった。


恐怖のあまり流れ落ちる涙と冷や汗。
何これ、いつもと全然違う…!!


「ッハ…う、ぁ…」


苦しい、息が上手く吸えない。
あれ、息ってどうやってするんだっけ。


体もガクガク震えて、立ってることすら辛くて。
足に力が入らなくなっていく感覚とともに、私の視界は狭まっていく。


「おい、しっかりしやがれA!A!!」


焦ったように私の名前を呼ぶ沖田さんの声が遠ざかる。
そのまま私の意識はブラックアウトした。

足音18→←足音16

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す