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五条side
笑顔を浮かべたままのAは淡々と、まるで他人事かのように言った。
五条「お前今死ぬって言った…?」
『うん。死ぬよ。ごめん。二度も死んじゃって』
五条「……巫山戯んな」
『え?なんて?』
俺の言葉が聞こえなかったらしいAは首を傾げて“もう一度言ってくれる?”と笑みを浮かべたまま言う。
それがまた俺を苛つかせた。
五条「巫山戯んなっつったんだ!!」
『………』
五条「なんでそんなヘラヘラしてんだよ!俺や硝子がどんな気持ちでお前の____」
『泣いたら止まらなくなる』
五条「は?」
『泣いたら涙止まらなくなるし、最期まで泣いてたら余計悲しませることになるから。だから笑ってんだよ。少しは女心理解しろよ!悟のバーカ!!』
五条「はぁ!?」
そこで俺は漸くAの瞳が潤んでいることに気付いて、それ以上反論することは出来なかった。
『昔も今も全っ然私の気持ち理解してくれないよね!!悟は!!なーにが“Aの気持ちには応えられないかな”だ!!いい教師ぶりやがって!バーカバーカ!』
五条「理解できるかっつーの!毎日毒しか吐いてこないような奴が俺に気があるとかどうすれば分かんだよ!バカはお前だろ!バーカ!!」
俺は結局昔もAのことを理解出来てなかった。
Aが俺に気があるなんて思いもしなかったし、有り得ないことだと思ってた。
五条「お前だって知らなかった癖に」
『悟がバカで屑で救いようもない最低男で、私を好きにならないことは知ってましたけど!?』
五条「一々ムカつくことしか言えないの?お前。俺だってずっとお前のこと____」
僕の言葉は打ち上がった花火の音によって掻き消される。
『ぷっ…あははは!!大事なところなのに!!言えてねーの!』
泣きかけていたのが嘘のようにAは爆笑していて。
五条「今すぐ殺してやってもいいんだけど」
『やだよ。やっと十年前の願いが叶ったのに』
五条「…願い?花火見ることが?」
『…花火を悟と見ることが私の願いだったの。だからもう未練はない!』
そう言ってからAは僕の元まで歩いてきて
『ありがとう。悟』
笑った。
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緋雪(プロフ) - 大好き過ぎて定期的に見てます泣泣泣 (2023年3月30日 3時) (レス) @page32 id: 44bf006712 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 刹葉さんの作品大好きです!!以前のぶりっ子のお話もとっても好きでしたが、今回のお話の五条先生もとっても好きでした!! (2022年2月10日 18時) (レス) @page32 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
jyjy - ガチ泣きしました…… すっかり作者様のファンです! (2022年1月29日 19時) (レス) @page32 id: 2ce4079fbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…。感動しすぎて。作者様は本当に神ですね。どの作品も本当に面白いです!これからも頑張ってください! (2021年7月21日 3時) (レス) id: d69ff754f7 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 泣いてしまいました…! 続編が欲しいと思うのは私だけではないはず! (2021年3月21日 18時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹葉 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/fall_0613
作成日時:2021年2月23日 13時