そらみて、そらる (ページ1)

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それは突然の出来事だった。

部活や委員会で忙しい彼女と、久しぶりに一緒に帰れることになった。

心の中ではすごい浮かれていた。

お待たせ、と笑った彼女の手を取って、帰宅路を歩み出す。

『ねぇ、そらる』

「ん？」

『今からカフェ行こ。

いいとこ見つけたんだ』

「えぇ。めんどくさい」

『もぉ…。またそんなこと言うんだからぁ、』

いつもなら、強引に連れていかれるのだけど、今回は珍しく折れたらしい。

『…はぁ、仕方ない。じゃあ、今日は送ってってあげるよ』

「何それ、笑」

『だって、今帰ってもすることないもん』

それから、他愛もない会話を交わしながらゆっくり家へ向かって帰った。

少し先に歩いてった彼女が笑顔で振り返った瞬間は、

今までで1番美しく見えた。

花火と一緒に彼女の笑顔が咲いた時よりも、

水濡れになりながら楽しそうにはしゃぐ時よりも、何よりも。

……こんなこと思うなんて、なんか変だな。