AU短編集3

＊シェアハウス(sans) ページ9

「よぉ」

間違いなく俺は夢を見ている。何故そう思えるのかって？それはだな、さっき寝ていた部屋とは違って真っ暗で俺以外何もないからだ。ん？なら何によぉって言われたのかだって？今言っただろ？此処には俺しかいないんだ。そう、俺しか。

「よぉオイラ、オイラに恨みでも伝えに来たか？」

そう、目の前にいるのは紛れもなくオイラだ。相手も正真正銘、オイラと同じsansだ。

「あれに関しては恨んでいない。むしろ感謝してるんだ」

そう言った目の前のオイラは嘘はついていなさそうだ。何で分かるかって？オイラだからさ。それで、あれについても簡単に説明するぜ。実は此処に、シェアハウスに来るAUは虐殺されて兄弟を失った奴が殆どなんだ。闇AUは仲間が殺されたのを頭の何処かで覚えている。オイラ達の本当の兄弟はもう死んでいるのを頭の何処かで覚えている。だから皆お互いに執着し、依存してるんだ。そう垣間見える場面、結構あったんじゃないか？

「お前さんのおかげで兄弟が泣き続けずにすんだ」

「オイラじゃアンタの代わりは出来てない」

「そんなことない、お前さんも立派なsansじゃないか」

そこからオイラじゃ代わりにならないと言っても言葉巧みに躱されている気がする。これじゃキリがないな。ここは夢だ。いつか目覚めてしまう。話したいことは山々あるが、一つだけ絶対に聞きたい事がある。キリがない会話は止めてそれを聞こう。

「兄弟殺しはAだろ？」

そう言うとピクリ、と微かにだが口角が上がったのをオイラは見逃さない。これは信じたくなかったがこうも反応されちゃおしまいだな。

「違うと言ったら？」

「嘘は良くないなアンタ、口角が動いたぜ」

お手上げ、とでも言いたげな表情になる。何か自分に勝てて嬉しいだなんて変な気分だな。

「流石は俺だな。鋭い。そうだ、Aがお前さんとAUの全てを壊した張本人だ」

「待て、全部？あの人間の子どもが？」

「あぁ、そりゃもうスゲェ速さでな」

目の前のオイラは嘘はついてない。ってことはそれが本当って事だ。

「だが今は無理矢理お前さんらの世界に行った事で記憶は殆どない」

「殆どって事はいつか思い出すかも知れないって事か？」

「あぁ、それでだ…これはお前さんら兄にしか頼めない事だ。もしその人間が少しでも怪しい動きをしたら…」

殺せ。目を覚ませば暗い部屋に汗だくになった自分一人だけ。成る程、これが次の目的か。やれやれ、とんでもないことになってきたな。なぁ？A。

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