＊au調理店

16種類の結果パターン

調理法絶対秘密主義． - 2024年5月9日

＊



「離してくれ。彼女はこれから“俺と”仕事だからな」


「わざわざ強調させやがって。この駄犬めが」


「仕事は仕事だ。離せ」


「残念だがこれから俺とコイツは出掛ける予定がある。残念だったな」


『＊ど、どっちとも約束してないです…』







朝9時を回る頃、リビングでは喧嘩が始まっていた。


他の骨達を見てもそれぞれ呆れた様子でこちらを見ているだけで助けようとする気は微塵もないらしい。


私がやっとの思いで出た蚊の鳴くような声も虚しく広いリビングに消えた。






「部下の仕事を態々キャンセルして自分は楽しく過ごすつもりか？」


「だからお前とYOUとの仕事は予定にねぇっつってんだろ。お前一人で行ってこい」


『＊あ、あのぉ…』


「お前は俺と予定があるよな？」


『＊えっ』


「いいや違うな。YOUは俺と仕事だろ？」


『＊えっっ』






二人とも同じタイミングで顔をこちらに向けさぞ当たり前の様にそんなことを言ってのけるが私としたら大迷惑だ。


そもそもそんな予定を入れた覚えはないし、入れていたとしてもメモに書いてある筈。








『＊あっ、あの、！ですからそんな予定は…』


「は〜い、そこまで〜。異物クンもBOSSもそこまでにしてあげな〜」


「おいふざけんじゃねぇよkiller。今YOUが話してただろうが」


「おー。怖い怖い、YOUちゃん。あっちでerrorが呼んでたよ」


『＊あ、！有難うございます！』






killerさんが助け舟を出してくれたおかげで助かった。



私は軽くお辞儀をしてから大急ぎでerrorさんの方へと向かった。





＊





『…はー。あんたらも趣味悪いよねぇ。YOUチャン喋ろうとしてるの分かってるくせに』


「あぁ？それが可愛いんだろ？」


「あんな小動物みたいに震えながらなんとか喋ろうとしてるんだぞ？」





毎日、日課の様に人間の女の子の取り合いを起こすのは我らが闇の帝王、nightmareとその部下cross。


他の奴らはコイツらの目的を分かってるから何も言わないけど今回は長引きそうであの子が可哀想だったから助けてあげた。


あの子がこの二人の重すぎる気持ちに気づいたらどうなることやら。







これからも当分終わることはなさそうなこの取り合いに、人知れず溜息をついた。



＊

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