92.その涙があまりにも綺麗で ページ2
○
No side
くだらない、としか思っていなかった彼だった。
朝食の後に彼は及川に、梟谷のマネージャーが自身の旧友のAと同姓同名なのが気に食わないということを聞かされていた
しかし岩泉は、相変わらずこの及川徹という男はめんどくせぇ、くらいしか思わなかった
だから、その梟谷のマネージャーを廊下で見かけた時も、何も思うことはなくただ通り過ぎるつもりだったようだ
岩泉「っ、おい、」
A「…何か、」
反射、というものだろう
彼女が岩泉の横を通った瞬間、ふわりと香ったのは彼女特有の優しい香り。彼が初めてその香りを知ったのは小学生の頃、初対面の少女に突然手を取られてその後ろを走った時。
自身の目の前にいるのが記憶の中の人物とは全く異なる容姿の少女でも、自分が大好きだった彼女の香りから彼は確信したらしい
岩泉「＿＿＿乃亜、なんだろ
覚えてないのかよ、俺と、及川のこと」
どっどっと早まる鼓動、息を詰まらせながらも呟いた言葉は、彼にとっては珍しく弱々しさがあった
一方のAは、岩泉の言葉に少しだけ眉をひそめた。黒縁めがねの奥の大きな瞳がゆらりと揺れる
A「…どこかでお会いした事がありましたか？」
長い沈黙の後に彼女がなんとか絞り出した言葉は、悲しそうな、どこか演技がかっている声色で。岩泉がその言葉を"嘘"と判断するにはあまりにも簡単すぎたのだった
岩泉「…A、もう嘘はやめろ」
弱々しく呟く岩泉は、悔しそうな、悲しそうな表情を浮かべている
A「…私は、貴方の知っている七夕Aではっ、」
岩泉「A、」
Aが少し声を荒らげたその時、岩泉は目の前の彼女をまるで割れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。突然のことに驚いたAは目を見開いて口をつぐむ
岩泉「…すまねぇ、本当に。」
A「…どうして…
一は、何も悪くない、のに」
彼の言葉にAの目からはつう、と涙が零れた。岩泉の前で彼女が涙を流したのは、これが初めてだった
誰も通らない静かな廊下には、体育館から聞こえるバレーボールの音と、僅かに選手たちの声が響いている
○
続編もよろしくお願いいたします( .. )
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ゆめぬし〜 - わ〜続きめっちゃ気になります！！更新お待ちしてます！！ (3月27日 19時) (
レス) @page19 id: 87ace5bfb7 (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 更新お願いします…(´；ω；｀) (3月22日 12時) (レス) @page19 id: 912a8b7391 (このIDを非表示/違反報告)
_zh(プロフ) - 続きが読めないのが惜しいです……こんな面白い所で止まってるなんて……気が向いたときにふらっと戻ってきてくれたら嬉しいです。お気に入り登録しておきます (10月29日 10時) (レス) @page19 id: acefa471ee (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、、欲を言えばもっと逆ハー要素いっぱい増やして欲しいのと、ノヤっさんとの絡みいっぱい見たいです！！文才天才過ぎます、、更新お待ちしてるので完結までついていかせてください！ (8月27日 4時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
shibao(プロフ) - 全然待つので続き書いてください！ (7月8日 23時) (レス) id: 3ee091ec74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：@ゑの | 作成日時：2021年4月10日 23時
