私得な短編集[あんスタ]リクエスト募集中！！！ (ページ40)

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大神晃牙. 奇妙な感情ページ40

晃牙サイド
「…が、晃牙～」

晃牙「…ん」

ぼんやりと聞こえる声。うっすらと目を開けると、Aの顔が見える。
ぱちぱちと、頬を軽く叩かれている。

俺、寝てたのか…

晃牙「…誰の許しがあって人の顔触ってんだテメ～」

A「起こしてやったのになんて言い草…」

晃牙「ハイハイ、ありがとうございました」

A「気持ちがこもってない」

そう言いながらも口元に手をやるA。
コイツは嬉しい時に口を触る癖がある。

晃牙「うっせぇな、この季節になるとどうも鼻がむず痒いし、寝れねぇんだよ」

A「大変だねー」

Aは髪の先をくるくるといじる。
コイツがこうするのは大体心にもないことを言う時の癖だ。

晃牙「つうか早寝早起きなんてロックじゃねぇだろ」

A「花粉症で寝れないってのもロックなの…？」

晃牙「しょうもないことにこだわってんじゃねぇよ。
それに…なんか考えごとしてたっつーか」

A「考えごとって？」

晃牙「ん～…」

覚醒しきっていない頭を働かせて、思い出そうとする。
確か、何か考えてたんだよな…

晃牙「っ！」

A「どうしたの？何考えてたの？」

晃牙「なんでもねぇ！」

言えねぇ、言える訳がねぇ！Aのことを考えてたとか…

てか、なんで俺がコイツのことを？

A「あれか、恋？好きな人のこと考えて寝れなかったのかなぁ？」

ニヤニヤとこちらを見るA。

冗談じゃねぇよ！
恋とか、俺様に限って、コイツに限ってありえねぇだろうが！

A「さては図星か？分かりやすいなぁ」

晃牙「うがぁっ、違うっつってんだろ！」

A「ハイハイ、分かりました…」

クソッ、なんなんだ。なんで俺様は、Aを目で追ってんだよ！？

Aがこっちを振り返る。
ちょっと笑う。

っ…可愛いとか、微塵も思ってねぇし！
ぬあぁ、もう、面倒くせぇ！

晃牙「A！」

A「ふぇっ、何？」

晃牙「ちょっと来い」

不思議そうな顔のAをずんずん引っ張っていく。
勝手に屋上まで来てしまった。

A「えと、どう、したの？」

Aは背が低いから、
まともに目を合わせるとちらりと上目遣いをするようになる。

…そんなの卑怯じゃねぇかよ。

俺は掴んだ腕を引き寄せ、半ば強引にAを抱きしめてみる。
…変な感じがする。

Aは戸惑った様子だったが、
A「心臓煩いよ」

と言う。

晃牙「馬鹿、ちょっと黙ってこうしてろ…」

Aは笑って口元に手をやった。