【文スト×暗殺教室】転校生はマフィアの潜入捜査官でした。

莫迦どもの擦れ違い ページ34

中也side

ありったけの気力を振り絞りAに嫌悪感を出した俺だったが、Aのきょとんとした表情を見て、既に其の気力は失われつつあった。



悪いA・・・俺はもう決心したんだ・・・！



「A、俺は、今日一人で行くからな。手前の事はもう乗せねえ」



思いの外つっかえずに出た言葉に、かえって自分が困惑した。



けれどAは、素直に俺よりも幾分か驚いた表情で、聞き返そうとしてきた。



『え、えっと、幹部・・・』



其の困った様な顔を見たくなくて、俺は素っ気ない風を無理矢理に装ってそっぽを向いた。



「じゃ、あばよ」




Aの台詞を遮ってバイクのエンジンをふかせば、彼奴の『は、はい・・・』と云う少し引いた返事が聞こえて余計に厭に成った。



俺はAの表情を見る事なくバイクを猛スピードで走らせた。角を曲がって、赤信号が見えたからブレーキを踏む。



・・・あァ?マフィアだって信号くらい守るわ←



一人で自分に突っ込みを入れてみてから、俺はバイクのハンドルに額を押し付けた。



「・・・ンだよ、糞ダセエな俺・・・」



自然と口から漏れた呟きで、余計に惨めに思えて顔を伏せたまま目を閉じた。



***

Aside


『あ〜もう完っ壁に嫌われた。あ〜如何しよ』



楽しいランチタイム、私の今日の昼飯はコンビニで購った調理パンだ。



「どーしたの、Aちゃん。まさか恋の悩み・・・?」



『や、恋では無いんだけども』



妙に乗り気の茅野ちゃんの誤解を手で制する。最近の私の話し相手は専ら茅野ちゃんだ。



「あ、じゃあもしかしてカルマ君?キスの後あまりに何も無さすぎて困惑しちゃってるとか」



『其れ、私の悩み其の弍』



ぴしっ、と茅野ちゃんを指差し正解の意を表す。



私の悩みについて判りやすく云うと、文字通り本当に何もない。告白どころかキスについての言及すら一言もない。



「それなら、多分カルマ君はビッチ先生の英会話でそういうのに慣れちゃっただけだからあんま心配しなくて大丈夫だよ」



『同じ事出目金君にも云われたよ』



磯貝君ね、と云う訂正を聞きながら、私は悩み其の壱について思いを馳せる。



何で急に、中原幹部に嫌われたんだろう・・・否、絶対キスだよな、あん時の。



もう下らない事で盛り上がったり出来ないんだろう。



彼に特別な感情を抱いてる訳じゃ無いけど、そう考えると単純に少し哀しく成った。

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