拝啓、親愛なるあなた様へ ページ5
拝啓、親愛なるあなた様へ
早いことにあなた様へ手紙を書き続けて七十六回目の秋がやってきました。
いかがお過ごしでしょうか?
最近、あなた様と過ごした日々をよく思い出しますのよ。
あの時私は、とても楽しく幸せでしたが、あなた様は幸せでしたでしょうか?
私の目の錯覚なのか、あなた様を重ね合わせてしまうのかは分かりませんが、孫が若い頃のあなたにそっくりなのです。
おかしいでしょう。
そのくらい、あなた様の事を思い出してしまうのです。
最近夢にあなた様を見るせいなのでしょうか。
私の記憶の中にいるあなた様を見るせいなのでしょうか。
叶うならばもう一度、あの頃に戻りたく思います。
私と、あなた様の2人で桜を見て歩いた川原、もう一度だけでいいので見たかったのです。
あなた様の隣で。
こんなことを思うのは私も死期が近いのでしょうか?
旦那様は3年前に病死してしまい、今は独りです。
毎日仏壇にお祈りを捧げておりますがどうしてもチラつくのは何年経ってもあなた様のお顔なのです。
それでは、また。
敬具 A
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:恋@眼鏡 | 作者ホームページ:http://sukinaharahasakuradeui
作成日時:2017年9月28日 0時