検索窓
今日:33 hit、昨日:37 hit、合計:102,741 hit

(7) ページ9





「ちょっ、すみません。今俺急いでるんで」

「そんなこと言わないでよ黄瀬君〜」

「あの、ほんとに」




開始早々、厄介な女子たちに捕まってしまった。
いつもなら適当に一言二言話せば振り払うことが出来るのだが、今日の人たちはなかなか振り払うことができない。

今そんなことしてる暇なんてないのに。



Aっちはまだ学校にいるのだろうか。それとも、もう帰ってしまったのだろうか。

明日にしようか。
しかし今日じゃなきゃ駄目なんだと思う。








『何してるの?』




背後から聞こえる俺の大好きな声。

後ろを振り向くと、俺が今探し求めていた人物が立っていた。





「Aっち……」

「あ!黄瀬君とお似合いのAちゃん!」


『ごめんね。うちの選手、今部活中だから』




そう言うと、彼女は俺の手を引っ張って俺と厄介な女子との間に距離を作った。



ああ、まただ。また助けられてしまった。

彼女と初めてまともに話した時と同じで、長い廊下を歩く。





「今日、部活ないっスよ」

『そんなの知ってるよ』




手、小さい。

握られている手から感じる小さな温もりに、ほんのり心が暖かくなる。







「……好きだなぁ」




気付けばそんな言葉を口に出していた。

空いている片手で咄嗟に口を抑えるが、一度口から出てしまった言葉は戻ってこない。前を見ると俺の言葉にびっくりしたのか、彼女は俺を見て目を見開いていた。




「…あー、本当はこんな形で言うつもりじゃなかったんスけど……」






“俺、Aっちが好きだよ。”




今度ははっきり、そう伝えた。





















黄瀬に少し前から好意を持たれていることに薄々気づいてはいた。
けれど、実際に言われると恥ずかしさで顔が赤くなる。



『ごめ、ん。……友達としか見たことない』

「分かってる」



黄瀬の顔を見ることができなくて俯く私に、彼は泣きそうな顔に無理やり笑顔を貼り付けて「だから」と言葉を続けた。





「これからたくさん考えて、頭の中俺でいっぱいにしてよ」

(8)→←(6)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
228人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 黄瀬涼太 , 海常高校   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 文スト黒バス東リベ推しさん» コメントありがとうございます!13の続きで帝光中学校時代の話なので、赤司ですね。 (2022年6月29日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
文スト黒バス東リベ推し - 14の黄瀬が赤司っちに言っておくからみたいな台詞あるけど赤司じゃなくて笠松とかじゃないですか? (2022年6月27日 17時) (レス) @page16 id: 89b4ed43fb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年6月18日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。