好きなんスもん【黄瀬涼太】

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「Aってピアス開いてたんだな」




放課後部活が始まろうとしている時、突然の強風で前髪も後ろ髪も全て飛ばされるところを見ていた森山先輩が言った。


普段は髪の毛(触角)で隠れて耳が見えないから気づかなかったんだろう。




『あ、すみません外したほうがいいですか？』

「いや、黄瀬も付けてるし……ってお前それ黄瀬とお揃いか！？」

『え、そうですけど』


「何でそれで付き合ってねぇんだよクソ」

『口悪っ！？』






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帝光中学3年生。



「AっちAっちぃぃ！！！」

『いやうるさっ』




放課後、今日は部活が休みなのでさっさと家に帰って寝たいと思っていたところを黄瀬に止められた(物理的に)。

あのねあのね、と楽しそうに話しかけてくる黄瀬には心做しか尻尾をぶんぶん振っているように見える。
いや尻尾あるわこれ。




「仕事でピアス2つ貰ったんスけど一緒に開けない？」

『えー、私不良じゃないし』


「見た目は十分不良っぽいっスよ！」

『なんだと』




髪の毛橙色だし！と付け加える黄瀬に、これは地毛だと返す。
寧ろ黄瀬の方が不良っぽいじゃん、金髪。


帝光中は結構しっかりしているはずなのにピアスはOKだという超ゆるゆる校則。

ピアスは開けたことがないので好奇心に駆られるが、どうしようかと考える。




「どうせならAっちとお揃いにしたくて！」

『ちなみにピアッサーは？』

「ここにあるっス！」

『用意周到だな』




仕方ない、ここは黄瀬の勝ちにしてあげる。

決して好奇心に負けたわけじゃないから！！





『いいよ、じゃあ黄瀬が開けてよ』

「え！？！！」

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