(11) ページ13
.
Aっちに彼氏が出来てから何日か経ったが、今まで通りいつもと変わらない日々を過ごしていた。
「湖橙さん、お弁当作ってきたんだけど、もし良かったら食べて欲しいな」
『え!いいの?ありがとう!!』
昼休み、購買に行くために渡り廊下を歩いていると中庭でAっちと伊藤くんが一緒にベンチに座っているのが見えた。
今は自分の好きな人が彼氏といる所なんて見たくない気分だと思ってそのまま通り過ぎようとしたが、身体は正直で気がついたら物陰に隠れて二人の様子を見ていた。
『この唐揚げ美味しいね!』
「それさつまいもの天ぷらだよ」
どう食ったらそう間違える?????
彼氏と一緒にいる時でも、Aっちのボケ加減は変わらないらしい。
それにしても、伊藤くんを見れば見るほどAっちが彼氏にしたがる理由が分からない。
顔は平凡、身長も平均くらい、性格は良いという噂、野球部の主将とかエースとかの役割を持っているわけでもないし坊主でもない。
特に“ここがいい!”というところがないのだ。
ちなみに前の歴代の彼氏は何をしても怒らなそうな人だったり、無愛想だけど雨の日猫に傘を被せてあげるような人だったり、ジャイ○ンみたいな人だったり、多種多様。
絶対に俺の方がいい男なのに、どうして?
食べ終わった彼女が伊藤くんに弁当の箱を返そうとし、伊藤くんもそれを受け取ろうとしたその時。
手と手が重なり合った。
「わっ!……ご、ごめんっ!!」
『全然いいのに。キスでもする?』
「きっ、!あっ、その……っ」
『ははっ。嘘だよ、冗談』
「……もう!湖橙さん!」
なんだなんだあの初々しい感じは!!!!
まるで付き合いたてのカップルみたいな、いや、実際付き合いたてなんスけど!!何あの伊藤くんの中学生みたいな初々しさ!何あのAっちの手馴れてる感!!!
俺Aっちからああいうの言われたことないんスけど!!?!おい伊藤!頭に花を咲かせるなぁ!!!
俺はぎぎぎっ、と自分のハンカチを噛みちぎるように引っ張りながらその光景を見ることしか出来なかった。
2週間後、黄瀬の元に「別れた」と報告があるのはまだ先の出来事。
228人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春(プロフ) - 文スト黒バス東リベ推しさん» コメントありがとうございます!13の続きで帝光中学校時代の話なので、赤司ですね。 (2022年6月29日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
文スト黒バス東リベ推し - 14の黄瀬が赤司っちに言っておくからみたいな台詞あるけど赤司じゃなくて笠松とかじゃないですか? (2022年6月27日 17時) (レス) @page16 id: 89b4ed43fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春 | 作成日時:2021年6月18日 20時