page0「リセット」 ページ8
規則的になる機械音が聞こえ、薄っすらと目を開けた。
誰かわからない顔が私の視界に入ると、「起きた!!」と騒ぎ出す。
そしてその人はナースコールを押した。
どうやら私はなんらかが原因でこの病室で寝ていたらしい。
窓付近に飾ってある花は萎れていて、
私がここに居て結構な日にちが経っていることを示して居た。
_______何があったのだろうか。
口には酸素マスクらしい物が取り付けられて居て、気持ち悪い。
それにベッドの横には何かわからない機械。
ますます自分に何が起こったかわからなかった。
それと、私の病室にいるこの人は誰だろうか。
不安と恐怖が入り混じり、体が震える。
知り合い?いや、こんな人知らないし、
話したこともないはずだ。
じゃあ、誰だろうか。
生憎、酸素マスクが邪魔で話しにくいのに加え、
声が全くでない。
すると、病室のドアが開き、白衣を着た人たちが入ってくる。
心底驚いた様子で私のベッドに近付く。
「大丈夫ですか?見えてますか?」
医師は優しい声で聞いてくる。
私は言おうにも声が出ないので取り敢えず頷いた。
看護師さんらしき人はテキパキと酸素マスクを取り外してくれたり、よくわからない機械を片付けている。
「自分の名前わかりますか?」
続けて医師はまた質問をしてくる。
自分の名前?そんなわかりきったことを聞くのは何故だ
と思いながら答えようとすると、
自分の名前が口から出て来なかった。
_______わからない
「………わ、わかり………ません………」
そう言うと残念そうな顔をする医師と、
絶望したような顔をする知らない人。
私の所為で悲しませてしまった。
そう思うと罪悪感で潰れそうになった。
「………ごめん、なさい………ごめ…んなさい……」
***
色々検査した結果、私は記憶喪失だそうだ。
それも忘れたものは結構大きいらしく、軽いものではないらしい。
記憶喪失って聞かされた時、
一緒にいた知らない人はとても悲しそうな顔をしていた。
そして、検査も終わって落ち着くと知らない人は、
「……僕はまふまふだよ!気軽に…まふくんって呼んで、ね……」
と泣きそうな顔で自己紹介をしてきた。私の所為だ。
この人が泣きそうになると、私も泣きそうになる。
だから、笑って欲しいな、って思った。
その【まふまふ】という言葉には懐かしさなんてものは全くなかった。
だから初めてあった人みたいで何処か擽ったかった。
_______そんなこと言ったら、きっと悲しんじゃうよね……
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時