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page40「真相」 ページ48

_____「彼女を泣かしたそらるさんが気安く彼女の名前を呼ばないで下さい」

「は?」

ギラリと光ったそらるさんの冷たい眼光。びくりと情けなくも怯え逃げ出したくもなる。

唯一僕が起こした騒ぎの真意を理解しようとしてくれどれ程嬉しかったことか。どれだけ救われた気持ちになれた事か。恩を仇で返しているというのはわかっていたがそれでも口から飛び出す言葉はトゲトゲしいものばかりだった。

「あれ?覚えていませんか?二年前、この病院で誰が亡くなったか。

…ああ、亡くなったんじゃありませんでしたね。‘Aちゃんが殺した‘んでしたね」



嫌味と悪意がたっぷり塗りたくられたナイフは深々とそらるさん目掛けて飛んで行く。ここまで言えば構うもんかと二年前言えなかった言葉が次々と降りてくる。

「‘来たらお別れを言わないと‘?誰がそんなこと言ったんですか?
一番近くに居て、一番彼女の病気を知ってたのは本当はAちゃんじゃなくて、そらるさんだったんじゃないですか…?!」

「やめろ!!!」

ダンっと大きい音を響かせて己の拳で廊下の壁を殴った彼の瞳は怒りに燃えているというよりも、仄暗い取り除けないくらいの絶望の色に近しかった。

「やめてくれ」

もう一度同じ意味の言葉を唱えるとそらるさんは毒気を抜くように小さく溜息を吐いて前髪を掻き揚げた。なんだかそれは現実逃避をしている様に見えグッと何かが込み上げてくる。

「…やめませんよ。そらるさんが現実を見てくれるまで、僕は。」

僕は。



page41「哀れ」→←page39「暖かい優しさ」



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設定タグ:歌い手 , そらる   
作品ジャンル:恋愛
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時

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