page26「指名手配」 ページ34
走った。足が縺れようとも転びそうになろうとも何処から横槍が飛んで来ようとも全速力で走り抜ける。
生憎ながら昔はサッカーをしていたもんで、足にはそれなりの自信はあった。だが歳のせいだとか不健康な生活を送っていたからとか。あげだせば切のない理由が俺の足を引っ張る。
後ろを迫って来るのは
何故、と聞いてもよくわからない事を言われ、病院内に入る事を許してくれないのだから強行突破するしか道はない。
走った先に見えるはエレベーター。ちょうど子連れの母親が降りて来たところだった為、急いで乗り込み開閉の閉をゲームでもしているのかと思う程連打。
眼前に広がる風景を閉まりゆく扉が遮断する。警備員もそれには間に合わずに息切れしながら手を伸ばすもさよならだ。
俺一人しかいないやっと落ち着けるこの小さな箱の中で改めて追いかけられる理由を探す。捕まえろと後ろから吠えられた声となんでと聞いた時に答えられた【ストーカー】という言葉。
___何、俺Aのストーカーだとでも思われてんのか?
いやなんで数回友人の見舞いに来ただけでストーカー呼ばわりされないといけないんだ。じゃあ毎日の様にコンビニに行く俺は逮捕されるべきなのか?なんて考えながら背中が写っている鏡と向き合う。
特に自分が不審者という格好をしている訳でもなかった。さっき走って荒れた髪の毛をてきとうに手櫛で元に戻しながら下から上まで見てみるもやはり問題は見受けられない。
容姿は前回来た時となんら変わってないし、変わってるとしたら服装だがそんな奇抜な服装をしている訳でもない。
結局の所自身に非は無いし、何かの間違いだろうと結論づける。もし警備員に捕まればちゃんと話せばいいだろう。身分証明書なら一応財布に入っているしと考えていると無機質な機械音。着きましたよの合図。
何回か友人の隣で歩いた廊下を早足で駆けて目的の人物の部屋の前で立ち止まる。
スライド式の扉に手を掛けた時、聞こえて来たのは知っている声の焦った声音。必死に彼女に縋りつく様な声。
何言ってるかいまいち聞き取れないし、聞き取るつもりもない。どうせてきとうな世間話を感情移入し過ぎて話してるだけだと思いながらその扉を開けると目を見張ったまふくんの姿と、不安そうに瞳を揺らすAの姿。
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雨中と猫。(プロフ) - ちょこさん» うわああああんすみませえええええんがんばります (2022年2月10日 2時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年12月20日 22時) (レス) @page49 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - いちごポテトよーぐるとさん» 返信が遅くなりすみません!めちゃくちゃ嬉しいです、現在別作品「笑えないって」リメイク更新中ですのでもう暫くお待ち下さい!! (2021年12月9日 18時) (レス) id: dcb807c257 (このIDを非表示/違反報告)
いちごポテトよーぐると(プロフ) - 色々な感情で涙が……とても面白かったです…。更新待ってます、! (2021年8月17日 0時) (レス) id: 33ba1212be (このIDを非表示/違反報告)
雨中と猫。(プロフ) - 眠夢_さん» うわああああありがとうございます!!今メインで書いている「笑えないって」という小説のリメイクを行っていてそちらが落ち着き次第こちらも更新しようと考えております!絶対完結はさせますので何卒ー!! (2021年8月13日 3時) (レス) id: 6b41ff11b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨中と猫。 | 作成日時:2017年4月29日 2時