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「やり方も作戦も、全て二人の好きにしてくれて構わない、情報ならナカハラ君が持ってるしね」
ひとしきり首領から話を聞き終わった後、部屋を後にしようと、踵を返すけど
「ああ、ナカハラ君は少し待っておくれ、まだ他に話があるんだ」
首領の声に、二人して踵を返すこと二回目
そんな奇妙な光景に、いつぞやの如く驚く首領と、気付いて睨み合う俺と其奴
「ごめんごめん、中也君の方だよ」
苦笑いで補足する首領
すると其奴は、嫌味ったらしく俺から視線を外して部屋を去っていった
ったく、とことん可愛げのねぇ奴だ
まあ、これすなわち裏返せば、" 普通にしてりゃ可愛いのに " ってな意味の毒吐きであることに、俺は気付かない
「首領、お話と云うのは」
彼奴のことでいっぱいになりかけた頭を振り、首領に口を開いた
帽子を胸に、最敬礼
にやりと上がる首領の口角を見つめる
「君は、ナカハラ君が何者か知っているかい?」
「マフィア構成員ではないということしか」
端的に答えると、首領は続けた
「ナカハラ君はね、とても優秀な " 情報屋 " なんだ」
云いながら首領は、机上の、と或る書類を、俺にも見える場所に置き直した
ちらりと見やったそれには、彼奴の顔写真
「もともとは彼女の両親がそうでね、だから腕はもちろん、情報量も文句無し」
すらすらと耳に入ってくる、彼奴の情報
それは良いが、何故彼奴をこの場から去らせてからこの話をするのか
不思議に思い始めた時だった
「彼女をマフィアに引き入れたい」
一際真剣な首領の声がそう発した
目こそ見開かなかったが、思考が一瞬フリーズする
見上げた首領は " 首領 " の顔だった
「彼女はマフィアの情報も沢山掴んでいてね、アレをばら撒かれては困るのだよ」
「……はい」
「その上彼女は他組織の情報の宝庫でもある、彼女を引き入れて悪いことはない、むしろ即戦力だ」
そこで、と首領は俺に目をやった
「今回の任務は、殲滅に加えて、彼女を上手くマフィアに勧誘することとする」
緊張感漂う部屋で、改めて任務が云い渡された
「頼んだよ、ナカハラ君」
「……承知しました」
情報屋がどうだとか、マフィアの戦力がどうだとか
首領の云う難しい話は正直さっぱりである
だが関係ない、俺はただ、ひたすら首領の仰せのままに任務を遂行するまで
そんでもって、ついでに俺の思惑も叶えるまでだ
彼奴を俺のもんにする、って思惑をな
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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