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俺の腕の中に居るってのに、ちっとも目を合わせようとしねえ其奴
いくら呼び掛けてもはぐらかして決め込むAに、そんなら俺は、好きに想いを伝えるまでだ
「___好きだ、A」
本当、莫迦みたいに手前のことが、俺は
すると、顔は背けたままのAの体が、ぎゅっと力が入って縮こまって
赤く染まった耳だけを俺にチラつかせながら
「……私の方が好きだし」
聞こえるか聞こえないかほどの小さな声の割に、強気と負けん気溢れる、可愛らしい返事が寄越された
くっそ、何なんだよ此奴、タチ悪過ぎんだろ
そっちがその気なら、俺だってこの際、募る想いをぶちまけてやる
「莫迦云え、俺の気持ちをナメんじゃねぇぞ」
「でも、初めて会った時から私が中也に見惚れてたこと、よーく知ってるくせに」
「んなもん俺も同じだっつーの、__それに俺はあの後すぐ、手前に惚れ込んでたんだからな」
どうせ手前よか、俺の方が想ってきた時間は断然長いんだ
ほら見ろ、更に俺を視界から外して、返す言葉に詰まってんじゃねえか
___いや待て、おい、何のつもりだ
「俺の勝ちだろ、良い加減こっち向けって」
照れてることだけ教えられても面白くない
とにかく顔を背けずに俺と目を合わせろ、今の手前は絶対可愛い顔してるに決まってんだから
なあA、頼むって
「い、今だって、中也見たら、見惚れちゃう」
__って云ってるそばから、まだ此奴は
そういうずるい抵抗は、煽ってるだけだってのが判んねえのか全く
好きだって云ってんだよ、この意地っ張りめ
「それで良いだろうが、一生俺に見惚れとけ」
「っ……」
「余所見したら許さねえ」
ん、やっとこっち向いたな
Aの潤んだ目が俺を見返して、それだけで良い気分に満たされる
胸んとこが、痛いくらいに高鳴る
「まだそっぽ向いてたら落としてたぞ莫迦」
「……好きな子落とす方が莫迦じゃないの」
「うるせえ、好きな奴が近くに居んのに、俺を見ねえとかムカつくだろ」
あーあ、黙っちまった
悔しそうに睨んでくるけど、真っ赤になってそんな顔されても甚だ逆効果ってもんで
おっと、だめだ
また顔を逸らそうとしたって、そうはさせねえ
「___っ、いま、きす!」
「悪いけど、こんなんじゃ全然足りねえから」
やっと念願叶って手前を手に入れたんだ
ここまでずっと想ってきたんだ
「仕事終わったら覚えてろ」
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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