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「怖かったら目ェ閉じてろ」
銃声の合間、敵を蹴散らしながら私を気遣う中也の声が耳に届いた
怖くないなんてのは真っ平嘘だけど、でも私、中也の姿が見えてない方が怖いみたい
机の下に隠れながら、ひっそりその闘姿を伺った
「こちとら優秀な情報屋が味方なもんでな」
相手が銃火器だろうと異能者だろうと、まるで関係なく薙ぎ払っていく帽子の彼奴
それを援護する形で追い打ちを掛ける黒服たちに、山田さんの組織は次第に押され始める
そりゃそうだ
異能も、戦力も全て、私が提供した情報によって割れているのだから
「悪いが手前らを早く片して、Aを俺のもんにしなきゃなんねえんだよ」
飛んで、殴って、躱して
重々しく武装してる筈の敵員らが、中也を前に呆気なく、見るも無惨に散ってゆく
「手加減なんざしねえ、覚悟しろ」
空気が怯む敵員
そんなの全くお構い無しに、中也は殲滅の任務を易々とこなしていく
流石はマフィア五大幹部
ヨコハマの夜を牛耳るその肩書きは、伊達なもんじゃないようだ
鮮やかな体術に、呼吸も忘れて目を奪われた
「くそっ、そんなに女が大事なら」
だからか、山田さんの呟きなんて気が付かなくて
少しずつ縮められてる距離も知らず、いつまでも大人しくその場に身を寄せていた私
「この女を人質にすれば良い」
「わっ、ちょ、やだ…!」
後ろから伸びてきた手に拘束され、頼りない声を上げたその瞬間
「___手前、タダじゃ置かねえぞ」
凄まじい殺気が、中也の全身から放たれた
怖気付きながらも私を離さなかった山田さんに、すぐさま銃声が一つ轟く
見れば手近な銃を奪い取った中也が、ソレを山田さんに向けた後、とびきり大きな舌打ちをしたところだった
「……全員まとめて終わらせる」
ドスの効いた宣告に、敵員は足を止め、黒服は中也へと道を譲る
どうやら中也は完全にキレてるらしい
好戦的な笑みも、愉しむような雰囲気も、全部拭い去った彼は恐ろしく凶暴な獣さながらで
ほら、一際強い重力が
奴らを敗北と云う名の地獄へへばり付ける
直後、揺れる地面、砕ける空気
パーティー会場が一瞬にして爆弾に呑み込まれたかのような世界と化した中、降り掛かる瓦礫を避けながら彼を探す
「___重力操作、」
名を呼ぶ声を頼りに、手を引かれて飛び込んだ先で会場を包む衝撃波の中、体がふわりと軽くなった
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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