【文スト】包帯アレルギー

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「ちょっとふざけ過ぎちゃったかな？」



私から体を離した太宰さんは、次に包帯の結び目を手にしながら笑った

つられて体を起こした私はまだ、心音が頭の隅から足の先まで響き渡っていて



「別に、吃驚しただけ、です」



なんて、意地を張るには顔が赤かったのか、太宰さんはクスクスと笑いを零す

悔しくて、対抗するように頬を膨らますけれど

その頬もこんなに熱いのだから、やっぱり私の負けは揺るがないらしい




「揶揄って悪かったね、でも恨むなら、可愛過ぎる自分を恨んでもらいたいかな」




ああもう、よくもそんな、怒るに怒れない皮肉を

誰もが見惚れるような笑顔で、紳士さながらの優しい色をした目で

ちゃんと用意してくるところが、とことんこの人らしくて敵わない




「ほら、これでもう自由だよ」



はらり、と解ける感覚に見やった右手首

さっきから触れられていたのは、包帯の拘束を外すためだったらしい

太宰さんの左手が、私の手と離れたことを示して見せるように、ひらひらと私の前へ翳された



「え、どうして今更」

「なに？ ずっとあのままが良かった？」

「そういう意味じゃなくて……！」



頭を大きく振って、必死に否定した

さっきから彼の手の平の上で転がされている

なんてそんなのは判っていても、私に出来るのはせいぜいそれくらいなのだ



「やだなあ、そんなに嫌がらなくても」



お陰でぼさぼさに乱れた私の髪

長い指で梳いて整えてくれる太宰さんは、やっぱりおかしそうに笑っていた




「嫌がってる、訳じゃなくて」



太宰さんから目線は外したまま、もごもごと口を狭く開いて、呟くような声を出した

それから一旦、一息置いて



「ずっとあのままじゃ、心臓がもたないから」



私にしてはなかなか、本音に近いことを口にした

嫌がってる振りを貫けば良いものを、それは嫌だと心の奥が強く主張するものだから

口を突いて出た本心だったのだけれど




「ああ、そうだった、Aちゃんは包帯アレルギーだものね」




太宰さんの返事に、唇を噛み締めた


＿＿＿＿ものすごくもどかしかったのだ

包帯の所為じゃないのに、私が心臓を鳴らすのは太宰さんになのに、って

多分これは、嘘を吐いたことへの後悔なのだと思う

だからだろうか



「もう日も暮れたし、帰るかい？」

「……今日一日、一緒に居る約束です」



ひねくれた " 帰りたくない " を口にしたのは




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