白情【宮侑】 (ページ37)

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36話ページ37

「ッ！い、痛くない…」

「ほ、ホントのこと言っていいんだよ…？」

頑張って強がるからとても子供っぽいと思ってしまう

「いま…子供っぽい思ったやろ」

「え？何が…」

私が替えの消毒を用意し終えて振り返るとジッと治君が私を見据えていた

スッ

治君の長くゴツゴツした手が伸びてきた

「い、嫌…！やめて治君…」

小声で彼を拒んだら治君の手は一度ピタリと止まった

そして

「なんで？」

「私と仲良くしたら良くないことの方が多い。治君に迷惑かけたくない…大切な友達だからこそなの…だからこの消毒が終わったらすぐに…」

ギュッ

「……！」

さっきの腕が再び伸びてきて気づいたら彼に軽く抱きしめられていた

「だっ！駄目だって！！」

力一杯押しているはずなのに全く動いてくれない

男女の力の差が分かった

「じゃあその大切な友達って困ってる友達見放すくらいの人間やねんな…それってアイツらと同レベルっちゅうことかいな」

「ち、違う！そんなことない！」

「勘違いすんな」

「えっ…？」

「俺は自分が悔いなく生きたい、ホンマの人でなしにはなりたくないからしとるだけや。お前じゃなくても助けとる」

「ハッ、ハハッ…そっか…」

「お前のタイミングに合わせるほど俺は性格よくないで…」

「せやから」

「もう泣くなや………」

最後まで迷惑かけるな…

私って……

仲間がいることへの喜び、これからの不安、もう元へは戻れない寂しさ……

きっと最後の涙だ…

そう願って私は宮治の腕の中で出来るだけ静かに泣いた。