47話 ページ47
どちらにしろ、今はAがカルトの身の安全を保証しているし、敷地内にまで彼女を監視する筋合いはない。
Aはさっきと同じようにリフティングを始めた。今度はインサイドやアウトサイドをつかって弟を楽しませる。
外見だけは取り繕うのが得意だった。
Aは時々やってくるこの感情の波に狂わせられる。
一体自分が何をしたというのか。そこまでするほど自分のことが信用ならないのか。そういう思いがふつふつと湧いてくる。
そして、それは纏わりつくようにうざったい。Aは奥にいるあいつが憎いわけではないが、この苛立ちをぶつけるのにちょうどいいと思った。
どうでもいい。
隠れてないで出てきなよ。
そして、Aは数回ヘディングを続けたあとに、わざと相手の方へと飛ばした。
円を描いたボールは、カルトの頭上を越えて樹木の方に落ちていく。そして、生い茂る木々の間から何度か見たことがある若い執事が姿を現した。Aの射るような視線とぶつかるが気にする様子はない。
「どうぞ、坊ちゃん」
自分のところに意図して転がったボールを拾いあげ、カルトに渡した。ボールを受け取ったカルトは、隠れていた執事の存在に初めて気がついたようだった。それでも、まあいいかとAの方に向きを変えてすぐに練習をし始める。
姿を見せたあとそのまま執事は後方に待機していた。カルトを通して視界に入ってくるため嫌にでも目に付いた。
しかし、数秒後に執事は突然前かがみになり苦しみだした。小さく呻き声を上げながら短く浅い呼吸を繰り返し、爪を立てて喉を掻きむしる。
その様子をじっとAは見ていた。カルトは目の前のことに夢中になって、後ろを確認することはない。やがて執事は立っていられないほどになり、膝からどさっと倒れ絶命した。
「姉さんがやったの?」
その音でカルトは振り返り、後ろで動かなくなった執事を見てからAに聞いた。根拠は無く不確かであったがそう思った。
全てAの念能力だった。
変化系のAのオーラは生物を死なせる毒の性質と、他の物質と混ざり合う混和性を持っている。
例えば、物体に自身のオーラを纏わりつかせるとする。
そして、対象がその物体に触れると、触れた対象のオーラとAのオーラが混ざり合う。その対象の身体を巡るオーラと共にAの毒は体内を循環し、内側から死に至らしめるという過程だ。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています!これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます!おかか様! (10月8日 9時) (レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです! (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです!続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです!頑張ります!更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかか | 作成日時:2022年1月23日 14時