39話 ページ39
とあるタワーマンションのエレベーター内で男が俯いて座り込んでいる。その男は最大まで緩めたベルトの上に腹が乗っており、頭皮の脂で髪が若干ベタついていた。
外見から見るに仕事終わりの中年の男のようだった。
押したであろう48階のボタンが光っている。
しばらくすると、独特の揺れとともに到着したが男が降りる様子はない。そのまま扉が閉まりそして新たな利用者の元へと移動した。
無機質な扉が開きマンションの住人が乗ってくる。住人は座り込む男を見て、不審に思い声をかけるが反応はない。
そして、俯く男と目線が合うようにしゃがんだ時だった。
住人は悲鳴を上げ尻もちをつき後退する。沈黙の男は目を見開いたまま絶命しており、眉間の辺りには奇妙な針が深く刺さっていた。
その騒ぎで警備員が駆けつけ、光景を目の当たりにする。
すぐにエレベーター内の監視カメラを確認するが、壊されており使い物にはならなかった。
証拠になるような肝心なものは何も映っていなかった。
タワーマンションを出たイルミは、完了と文字を打ち込み依頼人に送信した。依頼された暗殺を終えてカジノに向かっているところだ。
そこに行くのは今日の目的の1つでもある、Aの婚約者候補らの偵察のためだった。その内1人である男はよくそのカジノに入り浸っており、ゲームをして楽しんでいるという。男のそれは悪いことではない。
イルミはただそいつがどんなやつか知りたいだけである。
夜空と対照的に煌びやかに輝き、遠くからでも分かるほどの看板といくつもある豪華な噴水。そして、あらゆる電光色に彩られたそれは巨大なカジノ施設だ。
一晩で生まれる経済効果は凄まじく、この莫大な観光資源がここら一帯を支配していると言っても過言ではない。
｢パスポートの提示をお願いします｣
イルミはガタイのいい従業員に年齢や氏名を偽造した身分証を見せる。従業員は年齢とドレスコードを確認し、入場を許可した。
イルミはこの間新調したブラックスーツを着て革靴を履き、珍しくヘアワックスで軽く髪を撫でつけていた。
それに加えて、すらっとした長い手足と程よく鍛え上げられた筋肉がさらにイルミの魅力を引き立てる。そのルックスがロングドレスを身にまとった女性たちの目を引いた。
店内は音楽と話し声に溢れバカラやブラックジャック、ルーレットなど様々な種類のゲームが設置されている。
ディーラーが配るカードや勝ち負けによって増減するチップが客たちを夢中にした。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
