17話 ページ17
イルミはその光沢のある青い羽がAの瞳のようだと思った。この蝶を初めて見かける度にそう思っていたが、わざわざ捕まえたことはなかった。
時々捕まえたい衝動に駆り立てられたが、捕らえてしまったときに自分が感じていたその神秘さが薄れると思ってやめた。図鑑やネットで調べてみたりもした。
他の蝶よりも特別綺麗に見えた。
遂にイルミはとまっていた蝶の羽をつまんだ。そして触角や脚の微細な動きを観察した。
だが、幾らかの時間で急に熱が冷めた感覚になった。今までずっと夢中になっていたこの生き物の全てを知ってしまったからだろうか。
そして、羽を閉じた状態のまま胸の部分を強くつまんで圧迫して殺した。自然な手つきでその生命活動を断った。
しかし、すぐに捨てなかった。この蝶を見てイルミの脳裏にずっと残り続けていた思いが捨てられずにいた。
それを見たAは動かなくなったものに興味をなくした。まだ何頭か生息しているので一頭ぐらいどうでもよかった。殺してもそれを持っていたイルミの様子から、この蝶にまだ未練が残っているのだと思い提案をした。
｢標本にする？そうしたらそのまま残るよ｣
｢作ったことあるの？｣
イルミはこの提案に乗ってきた。本当に興味があるようにちゃんと目を合わせていた。Aは流されると思っていたばかりにその反応に驚いた。顔には出なかったが声に若干の戸惑いが出た。
｢何回か｣
｢教えて｣
しかし、これは顔に現れた。珍しい彼からの言葉にAは目を見張った。これまで過ごしてきた中でイルミからAにお願いごとをするのはほとんど無かった。
自らの技術を提供する機会などあるはずもなく、強いて挙げるなら本を貸してあげるぐらいだった。
そして、Aは数秒考えたあと、少し申し訳なさそうな顔をしてミルキの方を向いた。
｢ミルキいい？｣
｢いいよ｣
｢ごめんね、ありがとう｣
Aは作った花冠をミルキの頭にのせた。嫌がる素振りもなく素直に受け入れていた。
ままごとの約束をしていたがそれでも、年に数回あるか無いかのイルミからの頼みだったので優先順位を変えた。ミルキから了承を得たあとふたりは屋敷の中へ戻って行った。
ミルキはAとの約束はそんな重要に思っていなかったため、それからすぐに違う予定に切り替えた。今日は妹になる予定だったのもあり気分が晴れたくらいだった。こちらは未練など微塵も無かった。
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マニ。(プロフ) - 連載の方とかの新しい作品とか待っています！これからもボードの方でも仲良く、ファンとして遠くから応援してます！おかか様！ (10月8日 9時) (
レス) id: e240ea4865 (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - 千凪さん» ありがとうございます。嬉しいです！ (2022年3月10日 14時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
千凪(プロフ) - すごく面白いです！続きがとても楽しみです (2022年3月9日 7時) (レス) id: 129c41ba6d (このIDを非表示/違反報告)
おかか(プロフ) - リトさん» コメントありがとうございます。感想を頂けて嬉しいです！頑張ります！更新は遅いですが今後も読んでもらえたら幸いです。 (2022年2月28日 21時) (レス) id: 9b9f4760f3 (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!お話作るのが上手で尊敬してます。無理をせず更新頑張ってください。いつでも待ってます。 (2022年2月25日 2時) (レス) @page29 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかか | 作成日時：2022年1月23日 14時
