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第6話 ページ7

『国見』


背後から名前を呼ばれ、振り返る。
その声の主は、


「…五宮先生」

『ん。今から部活?』

「はい」


先生が隣に並ぶ。


『国見、やっぱり背高いよね。バレー部だっけ?何cmあるの?』

「182っす」

『わぁ、180超え。思ったより高い』

「思ったよりって…」


サラッと失礼な事を言う先生に顔を顰めるも、無意識なのか気にしていない。

…この人は……。

若干呆れながら、黙って先生と歩く。

暫く歩き、体育館に近づいてきたあたりで先生が携帯を取り出す。どうやらメールがきたようだ。

画面を見た瞬間、先生に嬉しげな表情が浮かぶ。

その顔を見て、途端 あぁ、あの男性(ひと)だな。 と分かった。


…その笑顔が向く(さき)が、俺だったらいいのに。


先生は何かを打ち込み、携帯をしまった。


『じゃあ私、ここで。部活頑張って。』

「あ、はい…」


小走りで離れていく先生の背中を見送っていると、先生はある車の前で止まった。

車のドアが開き、若い男性が顔を出した。
その時の先生の笑顔。


きっと、あの男性が先生にとって一番の恋人だ。


声は聞こえないけど、表情で察した。
先生との付き合いは1年の頃からだけど、初めて見た気がする。

男性は先生を車に乗せ、そのまま発進した。

走り去る車。

俺はその場にしゃがみこんだ。

「やっぱり…俺じゃ駄目、なのか……?」

先生のあんな表情(笑顔)、見た事がなかった。

あの人の前だとあんな顔するのか。


―――俺では、先生をあの笑顔にする事は出来ないのか。


だんだん、俺が見てきた先生の笑顔は何だったのか、という疑問すら出てきた。


涙が出そうなのをぐっと堪え、体育館へ向かった。

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ねじる(プロフ) - 舞桜@毒占欲さん» マジですか!いいですよねファーストレディー!ありがとうございます!!本当に嬉しいですっ、頑張ります!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: 2befed96be (このIDを非表示/違反報告)
舞桜@毒占欲(プロフ) - え、え!作者様もファーストレディー好きなんですか?私もです!しかもハイキューとコラボなんて最高じゃないですか!国見君の気持ちが痛いぐらいにわかります…… これからも頑張って下さい!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: 6a5d77360e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねじる | 作成日時:2019年11月2日 15時

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