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禁忌を破る ページ20

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程なくしてインターホンが鳴った


エントランスを開けて、上がってくるように云う


どくんどくんと、厭ってくらい心臓が鳴っていて、危うく部屋のインターホンを聞き逃す所だった



ゆっくり扉を開けると、三日ぶりのA


相変わらず可愛い



『こ、こんにちは』

「うん、悪いね、ここ迄来てもらって」

『いえ、意外と近かったです』



玄関先で、と前置きしていた彼女は、扉を開けて待つ私に近付こうとしない

矢張りといった所か、流石に警戒しているらしい


そんな彼女の腕を掴むと、明ら様に表情が変わった



「怖い?」

『……へ…?』

「顔に書いてるから」


怯えたような其の表情は、当然見ていて気持ちの良いものではなかった


まあ、自業自得なのだけど



戸惑うAを、ぐっと引っ張る


『や、やだ…』

「………」

『あ……ごめんなさい…』


何故か、謝罪を零したA


悪いのは全面的に私なのに



「おいで」


気にはなるが、構わず腕を引くと「待って下さい」と



『ここで話しますから』

「うん、後で訊く」

『待っ、待って、太宰さん!』



小さな躰で必死に私の手から逃げようとするAを無理やり引っ張って、扉の中に入れる


がちゃりと、彼女にとっては無慈悲であろう扉の閉まる音が響いて、追い打ちをかけるように、鍵を捻った



『待って太宰さん、訊いて下さいっ』

「待たない」

『い、一旦離して…』

「離さないし、逃す気も無い」

『なんで……』



既に泣きそうな声でAが、懇願するように見上げてきた



本当に、男を判っていない



『太宰さん、お願いだから…』



この状況で彼女が話す事が、良い話ではない事は判りきっていて


この後に及んで私は其れを訊きたくなくて




「もう黙って」



掻き立てられる欲に従って、目の前の唇を塞ぐように噛み付いた


.

使命感→←捨て台詞



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ななし - 待ってください本当最高すぎます!!続編楽しみにしています!今から待ち遠しいですー!!もし可能であれば中也オチと太宰オチのどちらも見てみたいです!! (2018年7月22日 6時) (レス) id: 5557df580c (このIDを非表示/違反報告)
ふらん - 続編が…楽しみぃぃぃ!やばいですね!最高です…! (2018年7月21日 17時) (レス) id: dbdc3a2a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜来(プロフ) - わああそう来るんですか最高です.....!!続編が楽しみすぎます!!一巻お疲れさまでした!続編の方も応援してます!! (2018年7月21日 11時) (レス) id: 796169ce21 (このIDを非表示/違反報告)
インコ(プロフ) - 最高かよ…お餅さん最高かよ…続編待ちきれない…。ひとまず一巻おつかれさまでした! (2018年7月21日 10時) (レス) id: 059b544bd8 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 中也さん…?えっ…最高すぎませんか?続編1ヒット目指して神速で見ます(笑) スマホが手放せない…:( ;´‐`;): (2018年7月21日 10時) (レス) id: 6de4597e1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お餅 | 作成日時:2018年7月13日 7時

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