ほうたい男 ページ5
「なぁにその子。私知らないよ」
頭に新たな包帯を巻かれ、体の至る所にガーゼを貼り付けた太宰は、のんびりとそう言った。その視線の先には一人の子供がいる。
突如現れた包帯だらけの男に、子供は僅かであるが怪訝な顔をしている。太宰はそんな事はお構い無しに子供の顔を覗き込んだ。彼は胡乱な視線には慣れっこなのである。
「ああ……きみ、芥川君に似てるんだね。うんうん、そっくり。彼に銀ちゃん以外の妹は居ない筈だけど」
至近距離で顔を見られたので、驚いた子供は鏡花の背後に隠れた。黒い瞳は警戒の色を濃く写し、太宰を見つめていたが、太宰はどうでも良さそうに欠伸をした。鳶色の瞳に薄く水が滲む。
「処で国木田君。私はもう休憩していいかな。自死って結構体力を消耗するのだよね」
「今は！ 就業時間中だ！ 寝ようとするな！」
胸ぐらを掴んで揺さぶられ、太宰は気の抜けた声を出した。それから、不承不承に長い指で子供をちょいと指差して云った。
「私の方から芥川君に連絡とって彼女について訊いてもいいけど、多分知らないって返ってくるだろうね。
でも潔白の一般人って訳でもなさそうだから、此処で保護してあげれば善いんじゃあないかい」
�牋貳命佑任呂覆き�
その言葉に妙な取っ掛かりを覚えた国木田は太宰を揺さぶる手を止めた。
「どう云う事だ」
「例えば私や国木田君のような──成人男性に対しての警戒が尋常じゃないんだよ、この子。けれど彼女の仕草や瞳に怯懦はなく、ただ絶えず観察するように私達を見ている。まるで�猊櫃い�ら警戒する�瓩里任呂覆�、�狒海Δ靴覆韻譴个覆蕕覆い�らそうしている�瓩茲Δ犬磴覆い�」
「鏡花ちゃんには普通に喋るのだろう？ 谷崎君にも少しは」太宰が国木田の肩越しに訊く。十四歳の鏡花は静かに、十八歳の谷崎は曖昧に頷いた。
「確かに、此処に着いてから殆ど話そうとしない」
何故、と問う瞳を鏡花は子供に向けた。子供は両手で口を塞ぎ、それから首を横に振った。それに一つ頷いた鏡花が国木田に告げる。
「そんな大層な理由じゃない、之はただの人見知り、と本人は言ってる」
「おや……」
太宰はやや不思議そうに首を傾けた。国木田は(癪だが)太宰の洞察力や人の掌握に関しては本物だと思っているので、彼の見解が外れた事に驚いた。
鏡花ちゃんは何で今の仕草で判ったンだろう。谷崎は素朴な疑問をそっと飲み込んだ。
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ロト - こめ(元団子)さん» お久しぶりです！最近わりと多忙でした…少し時間が空いてきたので見てみようと思えば結構更新されてて嬉しかったです！癒されました〜！ (2019年8月25日 23時) (
レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ロトさん» ロトさん！ お久しぶりですね！ そうです娘主は奔放な子供なので自由に遊び回っては国木田さんに叱られ 最終的には追いかけ回されますw (2019年8月25日 22時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 近所迷惑(社員寮)……つまり、国木田さんの胃痛が増すんですね分かります。 (2019年8月25日 1時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 来霧さん» やったー！ありがとうございます これからもお付き合いください！ (2019年8月19日 2時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
来霧(プロフ) - 続きが！きになりすぎます！！応援していますー！頑張ってください！ (2019年8月17日 0時) (レス) id: cc1c1fbc8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作成日時：2019年6月22日 21時
