番外編 初詣 ページ8
大晦日?_____そんなもの存在しません。
元旦?____そんなものもありません。
否、当初の予定では二日間お休みを頂いて一人でお蕎麦を食べながら年末番組を見て年越し初詣に行って…等と日本の文化を存分に謳歌しようとしていたのだ。
が、然し何だと云うのだ。緊急任務とか。巫山戯んな。
珍しく私は腹を立てていた。
「何で手前と年越さなきゃいけねェんだよ」
「それは此方の台詞だねぇ、中也。大体そんなものを意識して口に出す時点で程度が知れてると云うか…」
「あー!ムカつく!あー!死ね!」
『…』
任務の帰り中原準幹部の車に乗って帰宅する。二人の喧嘩を止める気力すら無い私は窓の方を眺めてぼうっとしていた。
『…あ』
「大体君はね、頭も悪いし直ぐ…」
『太宰幹部、中原準幹部見てください!』
「…何だいA」
『初日の出です!』
「お、おう。そうだな」
私が初日の出に夢中になると二人も喧嘩を止めた。
暫くうっとりとしていると太宰幹部が私の事を冷めた目で見た。
「非常に趣深いと云いたいところだが…」
「たかが日の出にうつつを抜かしてもな…」
『…』
(普段二人して意見合わないくせにこう云う時だけなんなんですか!)
休日だったはずの二日間を仕事によって潰された挙句徹夜、そして趣も風情もあったものじゃない事を云われて私の怒りの沸点は最高潮に達していた。
ふて寝してやろうと思い目を閉じた。
「あ〜あ〜Aが怒るのって相当だよ。どうすんの中也」
「は!?俺に聞くなよ!」
___________
「…起きろ。櫻田」
『…ぇ』
目を覚ますと拠点でも自宅でもなかった。代わりに太鼓やお囃子の音が聴こえてくる。
寝起きの為余ぐに頭が働かずぼやぼやしていたが、此処って。
車を降りるとはあっと白い息が広がった。
「本当ならば私はさっさと家に帰ってゆっくり休みたかったのだがね。君の為に」
「オイ。彼奴は置いてこうぜ」
「…は」
駐車場から出て裏道を出ると表は人でごった返していた。
『わぁ…!』
矢張り、神社である。食べ物の屋台やもくもくと上がる白い煙。着物を着た人達や近くで聴こえるお囃子の音色。辺りを見渡していると人にぶつかった。逸れそうになると太宰幹部が私の腕を掴んだ。彼の手は暖かかった。
『すみません。子供みたいにはしゃいでしまって…』
「お前ら何やってんだ。早く行くぞ」
(A、16歳は充分子供だよ)
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時